98年10月の神戸空港ニュ〜ス

最終更新:1998年10月30日
直接請求〜いよいよ最終ラウンドへ!! (98年10月30日)
 30日15時、選挙管理委員会の審査を受けた307,797名の署名は段ボール箱58箱にまとめられ、続々と市役所に運び込まれました。
 そして、請求代表者のひとりである須田勇・元神戸大学学長の手により条例請求書が市長代理人の市職員に手渡され、直接請求の手続きが開始されました。
 しかし、条例請求書の受け渡しの場に笹山幸俊市長が姿を見せなかったことから、「住民投票の会」は、市長に対する抗議書も提出しています。
 ちなみに笹山市長は、これまで「空港推進」の請願や要望があったときは、自ら応接室へ出向いて、満面の笑顔で「推進要望書」を受け取っていました。今回の「直接請求」での市長の態度は、明らかに市民を敵視し、バカにしています。
 市長が出てこなくても、この後は、地方自治法に基づき、市長は20日以内に議会を招集し、意見書を付けて議会へ提案しなければなりません。
 もちろん、これで「住民投票条例直接請求運動」が終わったわけではありません。市民は「市民の代表」である市会議員に条例制定への働きかけを行う義務があります。
直接請求署名縦覧終了・異議申し立ては3件、20人 (98年10月22日)
 各区役所で16日から行われた「住民投票直接請求署名」の縦覧期間が22日に終了し、市選挙管理委員会は無効署名の異議申し立てについて、3件20人分あったと発表しました。
 区別では灘区で10人、北区で1人、須磨区で9人。なお、異議申し立ては郵送でも受け付けているため、22日消印有効で26日までの異議の到着を待ってから、それぞれの異議について審査を行います。
 異議の審査は地方自治法で最長でも14日間で終わらさなければならず、遅くとも11月8日までに正式な有効署名が選挙管理委員会より告示されます。
不都合な情報を公開しない「埋立免許出願書類」の名ばかりの「縦覧」(98年10月22日)
 市は21日から「空港島建設の公有水面埋立免許」出願書類の縦覧を開始しました。
 これは、19日に出願された埋立免許願書について、公有水面埋立法に基づき市民に公表するもので、当初、免許願書とともに環境影響評価書と財政計画関連の書類も縦覧できるとされていました。
 しかし工事費用調達方法に関する書類は「入札に支障が出る」として非公開になっています。(おまけになぜか「直前3月以内に撮影した埋立区域等の写真」も非公開です)
 今月1日、市公文書審査会は財源計画、事業費内訳などを「非公開とする理由はない」と、笹山幸俊市長に答申していますが、相変わらず市民に都合の悪い情報を隠そうとする市当局の姿勢は、市民をバカにしています
 この不完全な手続きで進められる神戸空港計画は即刻中止すべきです。
 なお、縦覧期間は11月10日まで。市役所1号館3階1033会議室で縦覧が行われ、意見書も提出できます。
 また空港島埋立手続きの進捗状況は空港島環境アセスメントレポートをご覧ください。
空港島埋め立て免許出願へ (98年10月18日)
 市は16日「空港島埋立事業に係る環境影響評価書」をまとめ、着工前の環境アセスメントを終了しました。(手続き詳細は環境アセスメントレポートをご覧ください)
 まとめられた評価書は19日より、市役所環境審査室(3号館5階)で永久縦覧されます。
 市は23日までに、この評価書と、すでに発表された財政計画を添えて国へ空港島埋立免許の出願を行う予定です。

選管、有効署名数を告示 (98年10月15日)
 良識ある神戸市民の紳士淑女録とも言える「住民投票直接請求署名」の、地方自治法に基づく審査が終了し、市選挙管理委員会は有効署名数を307,797人と告示しました。
 このあと22日まで、署名簿の縦覧と署名者からの異議の受け付けが行われます。
 なお、今回の審査で45,728人が無効署名と判定されており、あなた自身の署名が無効になっていないか、またご友人、ご家族の署名が無効になっていないかをチェックするため署名簿を閲覧されることをお勧めします。
 縦覧は各区役所で22日まで行われ、同時に異議の受付も行います。
 縦覧終了後あるいは異議確定後は、条例制定請求代表人が5日以内に笹山市長へ条例制定を請求。市長は条例案に意見書をつけて議会に提案します。
 各区別の有効署名数、無効率、無効署名の内訳はここをクリック!!

 しかし笹山市長は「運輸省の空港設置許可が下りている」ことを理由に、条例制定に反対の意見書をつける構えを見せており、条例案否決をさけるためにも、市民から市長、議員への、さらなる働き掛けが必要です。


市長、空港は「着手済みの事業」、知事は沈黙 (98年10月8日)
 笹山幸俊市長は直接請求署名後、初めて公式の場で神戸空港計画について語りました。
 8日、開かれた市議会本会議で市長は「すでに国からの実施設計調査費もついており着手済みの事業だ」と発言しました。
 また、直接請求署名についても「選挙管理委員会から確定した数字が出ていないので、何とも感想は言えない」とノーコメントを決め込みました。
 一方、同じ日、兵庫県知事選挙が告示され、立候補した現職知事貝原俊民・神戸空港建設促進協議会会長は、第一声で神戸空港問題について、いっさい触れませんでした。

他人の金をあてにした、ポートライナー「空港線」計画(98年10月8日)
 市はこのほど、神戸空港へのアクセスについて、ポートライナー(神戸新交通ポートアイランド線)の延伸で対応することを発表しました。
 具体的には、現在の「市民広場駅」からポートアイランド二期を経て空港島を目指す新線を作る予定。完成すると三宮から16分で空港へ行くことができるそうです。
 しかし、その総事業費は1200億円。ポートライナーは市が出資する第三セクター「神戸新交通株式会社」によって運営されていますが、同社は98年3月期現在、累積赤字が187億円もあります。
『風見鶏』特製・「ポートライナー空港線」計画バランスシート
新交通システムの部(2005年完成「予定」)負債・資本の部(来年〜2015年度)
科目・摘要金額(億円)科目・摘要金額(億円)
・橋脚・駅舎など
・改札機・信号機・制御装置など
600
600
・国の補助(これから協議)
・神戸新交通負担の事業費
市が同社へ貸付・出資増額
300(?)
600
300
本当の事業費1,200負債などの合計1,200(?)
 バランスシートでもわかるとおり、赤字の会社に対して、大赤字の市が貸し付け(一部は増額出資)することになります。
 同社の貸付金は、空港開港後の運輸事業収入から、2015年までに返済される予定ですが、空港そのものが失敗した場合、空港本体と共に市財政の足を引っ張ることになります。
 しかも、まだ国とも協議していないのにもかかわらず、国の補助を事業費の一部に組み込んでいる点にも疑問です。
 第三セクターとはいえ「神戸新交通」は株式会社です。一般の会社なら、このような財政見通しの甘い事業案はボツにされるでしょう。

市会・空港特別委員会〜やっぱり自転車操業?(98年10月6日)
 10月6日、市議会で神戸空港特別委員会(平野昌志委員長=自民党新こうべ21・兵庫区)が開会されました。35万人の直接請求署名後初の空港特別委員会ということもあり、定員をオーバーする市民が傍聴に詰めかけました。
 まず、市が発表した神戸空港の財源計画について議論が行われ、空港財源のうち45億円は市民の税金である一般会計が使われることが判明しました。
 市は「一時的に借り入れる」としていますが、返済の財源については、まだ明確に決まっていない「着陸料収入」をあてるとしています。
 また、空港ターミナルビルの第三セクター化で、市の負担がさらに増えることが指摘されました。
 この指摘に対して市側は「会社の事業計画は決まっていない」と答弁するだけで、市の負担額を明確にしませんでした。
 さらに、空港推進派の佐伯育三委員(公明・中央区)は起債の償還財源としている土地が「万が一売れなかった場合は」と当局を問いただし、答弁に立った山本信行港湾整備局長は土地が売れずとも「賃貸もあり得る」とし「最悪、会計から一時振り替え運用も考えていきたい」と答えました。
 つまり、借金を返す資金がなくなったときは、別会計から「借り入れる」…すなわち自転車操業もあり得るということです。

 後半では市民から出された空港推進と空港凍結の請願書に対する市民の意見陳述がありました。
 特に推進派の三宮阪急前商店街振興組合代表者は、一度も委員と顔を合わすことなく、原稿を読み上げるだけで「夢」「雇用拡大」などの「意見」を語りました。
 請願の賛否については以下の通り。

空港早期実現の請願(2件=採択)
・賛成=公明、自民党新こうべ21、民社市民連合、こうべ市民連合(社民党)、自民党新政会、自民党みらい
埋め立て免許出願の中止、空港関連の情報公開の請願(各1件=それぞれ不採択)
・賛成=共産、新社会、無党派市民ネット

市、財政計画を公表(98年10月4日)
空港施設の部(2005年完成「予定」)負債・資本の部(来年〜2026年度)
科目・摘要金額(億円)科目・摘要金額(億円)
・埋め立て造成(臨港都市整備事業)
・滑走路等(空港整備事業)
・港湾整備事業
2,780
594
126
・国の補助(つまり「元手」)
  空港本体
  港湾施設建設補助(見込額)
起債(国内債・外債=借金)
・土地売却・空港着陸料収入など
▲起債の償還(借金の返済)
・空港整備会計から
604
(500)
(104)
2,100
3,000
▲2,564(?)
360
本当の事業費3,500負債などの合計3,500(?)
 神戸空港の財政計画がこのほど明らかになりました。本誌では、わかりやすく「バランスシート」風にしてみました。
 新聞報道では総事業費を「3140億円」としていますが、これは市が設置している「空港整備会計」が空港本体の土地代として負担する約360億円を省いた金額で、発表された数字を見る限りでは空港事業費合計は3500億円になります。
 また、財政計画を見る限りでは総事業費(3140億円)の6割が借金です。返済額は支払利息(約400億円)を含めて2500億円を超えます。財源は2002年からの土地売却収入、空港利用料収入が充てられます。つまり2002年までは莫大な借金と国の補助金だけで建設することになります。
 起債は初年度を国内債、次年度からは外債とし、その外債は「情勢を見極めながら有利な方法を選択する」としています。
 借金の返済期限ともいうべき「償還期限」の最長は20年、最終的には2026年度に償還期間が終わります。また、返済期間のうち、空港開港5年後の2010年には「空港債」だけで730億円もの莫大な返済を迫られる予定です。(もちろん、このほかの市債の返済もあります)
 今回の財政計画には、空港へのアクセス、空港施設の建物、水道、防災施設などの費用は含まれていません。
 なお、万が一、空港建設が決まり、この財政計画が破綻した場合、商工会議所会員、連合兵庫組合員、創価学会員、歴代神戸市長・兵庫県知事、賛成派市会議員が穴埋めすることも、今からでも財政計画で明記していただきたいものです。

●早くも署名効果? 市公文書審査会が「空港関連情報を非公開とする理由はない」と市長に答申。(98年10月2日)
 市公文書審査会は1日、神戸空港計画関連の公文書を非公開とした決定に対し、財源計画、飛行コース、飛行場設置許可申請書の事業費内訳などを「非公開とする理由はない」と、笹山幸俊市長に答申しました。
 情報公開については「神戸空港を考える会」の中田作成事務局長が市へ公開を請求したものの、市が「非公開」としたため。この決定に対し中田事務局長が異議申し立てを行っていました。
 市はこれまで「文書自体が存在しない」「入札に支障をきたす」として、神戸空港関連の公文書を市民に公開していませんでした。

●促進協、また市民の貴重な税金で意見広告!!(98年10月1日)
 神戸空港建設促進協議会(会長=貝原俊民兵庫県知事)は、10月1日付け『神戸新聞』朝刊に、またもや全面意見広告を掲載しました。
 意見広告は9月4日付け『神戸新聞』に続いて2回目です。
 今回は「復旧から復興へ神戸空港は必要です 経済効果所得3兆6千億円増 市税3千億円増(開港後10年間で)」と名付けられ、7つの項目で構成されています。
 また、前回の意見広告が読者に高圧的な印象を与えたため、今回、微弱ながら航空機騒音について触れつつ、本文をすべて「です・ます体」に統一しています。
 読み物としてお勧めしたいのは「(6)神戸空港の夢」。子供でもこんな突飛な「夢」は思いつかないでしょう。
 全面広告の要約は以下の通り。要約、表の引用箇所は原文のままです。
 (前回の全面広告と内容が重複する項目、または直接神戸空港とは関係がない部分について要約を省略しました)
(1) 関西の地盤沈下は空港が原因のひとつ
航空機のジェット化と公害問題
 昭和40年代、関西では大阪国際空港しかなく、内陸空港であるため騒音公害が大きな問題になり、離発着が厳しく制限されました。
国土の2眼レフ構造から東京一極集中へ
 この結果、乗降客数では昭和45年に関西圏は関東圏とほぼ同数であったものが、平成8年には半分以下に低下。このように東京一極集中の傾向が強まっています。
(2) 関西に空港が足りない
関西圏は、カナダ、ブラジル等の一国にも匹敵
関西には滑走路少なくとも5本は必要
 世界の主要都市圏並とは言わないまでも、人口100万人あたり1000mの滑走路を整備するとすれば、関西圏では計算上、滑走路が5本は必要です。
 関西国際空港の全体構想が完成したとしても、なお不足している状態にあるのです。
(3) アジア・太平洋地域の航空事情
アジアの発展・航空需要の増加
 アジアは現在、経済的に低迷していますが、そのポテンシャルは大きく、中長期的には世界の成長センターの地位はゆるがないと予想しています。
 今後20年間でアジア・太平洋地域では年率6.6%の成長が見込まれ、他の地域に比べて大きな成長を示すと言われています。
航空機の中小型化・多頻度化へ移行
 専門家の予測では、これからの旅客輸送は、ジャンボ機といった大型機によるのではなく、100人から200人程度の中小型の旅客機が主流になると思われます。
求められる空港の容量確保
 中小型機による少量多頻度型の輸送形態になると、どうしても空港の離着陸回数が増大し、そのため、空港の容量はできるだけ多く確保することが求められます。
 空港の容量に余裕のあるところが発展することとなります。
アジア各都市の空港計画
 世界の成長センターであるアジア諸国では、航空需要の増大に備え、現在供用している空港の拡張計画や新たに新設する事業が目白押しです。
(4) 空の時代の到来
空港利用客の推移
 たとえば、近年の航空旅客の伸びはめざましく、情報発信の発達と軸をひとつにして将来にわたりその活動量は増大していくものと思われます。
関西圏貿易額の推移
 貨物の輸送を見ますと、下の表のように、関西圏においては神戸港、大阪港の輸出入額が横ばい傾向にあるのに対し、関西国際空港における輸出入額は前身の大阪国際空港に倍増する勢いで、今後、ますますこの傾向は強まると思われます。
関西圏における輸出入額の推移
注:港の欄は、大阪港及び神戸港の輸出入額を示す。
 空港の欄の平成3年は大阪国際空港
 平成9年は関西国際空港の輸出入額を示す。
根拠:外国貿易概況など
"自分は飛行機に乗らないから空港はいらない"?
 たしかに、私たちの誰もが頻繁に飛行機を利用することはないかもしれません。しかし、空港があることによって、地域の産業が繁栄し、文化・学術の交流などが活発になります。そのことによって、その地域に住む市民の生活は豊かになるのです。
(5) 関西の空港ネットワーク
日本の空港整備の制約
複数空港のネットワーク
関西3空港の機能分担
 世界各地とを結ぶ国際線については、関西国際空港を拠点とし、国内主要路線と今後ますます増大すると思われるビジネス機をはじめとするジェネラルアビエーションについては大阪国際空港で対応し、神戸空港は、地域の国内路線空港として、関西国際空港と一体的に運用することが考えられます。
(6) 神戸空港の夢
関西国際空港へ新しいアクセスは可能
 神戸空港から関西国際空港までの直線距離はわずか24kmで、たとえば、鉄道で結ばれれば時速100kmなら約15分でアクセスすることが可能となります。
神戸の陸・海・空のアクセス完備
 航空に関する規制緩和の中で(略)神戸空港を本拠地とする新しい航空会社の誕生も夢ではありません。
国際文化都市への形成へ
(7) 神戸空港の経済効果
雇用と所得の増加
税収増加
 2010年には、約300億円の市税収入が見込まれ、開港後の10年間で、約3000億円の市税の増収となります。 
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