1999年後半の神戸空港ニュ〜ス

最終更新:1999年11月9日
「住民投票の会」力つきる (99年11月8日)
 住民投票条例直接請求で中心的な役割を果たした「神戸空港・住民投票の会」は11月8日、世話人会を開き、今後の活動方針について話し合いました。
 この中で事務局サイドは、一部市議らが進めている「市長リコール運動」との連動について「会の性格上、市長や市政を変える戦いを直接担えるものではない」として、市長リコール運動に加わらないことを明確に打ち出しました。
 この方針について「リコール運動に取り組むべき」「空港建設が始まった今、解散した方がよいのでは」といった意見が出席者から続出。これらの意見に対し事務局は住民投票実現にむけて「新たな状況になった場合に備え、当面は会の維持、存続に必要な活動を取り組む」との運動方針を固めました。
 しかし、市当局の空港建設強行で、空港是非に関わる運動の万策が尽きたことから「住民投票の会」は事実上、休眠することとなりました。
空港、いよいよ着工へ… (99年9月10日)
 99年9月10日、ポートアイランド沖に空港島埋め立て予定地を示すブイが設置されました。
 ブイは埋め立て予定地の周囲約9kmに27基、これとは別に船の船舶航行禁止区域を示すブイ2基を9月10日、11日の2日間に渡って設置します。さらに工事期間中は、5隻の船が埋め立て予定地海域を監視します。
 夜になるとブイに明かりがともり、昼夜問わず、神戸空港島の「形」が肉眼で確認できるようになります。
 また、この日、市当局は記者会見で13日の汚濁防止膜設置作業をもって、事実上の着工とする認識を示しました。
住民投票条例案、また否決 (99年9月9日)
 昨年秋に30万人のもの市民の直接請求によって提案され、否決された「住民投票条例案」が、再び臨時市会で審議されました。
 今回は共産党と住民投票議員団の市議10人による議員提案によって実現しました。
 99年9月9日…昨年11月の臨時市会をまさに再現するかのように、朝早くから市民が多数市役所に詰めかけ、本会議場の140の傍聴席は、開会までに満席となりました。今回も直接傍聴できない市民のために市役所1階ロビーでスピーカーによる傍聴が行われました。
 臨時市会は10時に開会。臨時市会の会期を「1日」とする採決のあと、住民投票条例案の提案が行われました。
 今回、提案された条例案は、昨年11月の臨時市会与党から「投票結果に法的根拠がないのに市長の職務を制限するのは矛盾している」と指摘された14条を削除したものです。
 提案議員を代表し、共産党の森原健一議員が提案理由を説明。森原議員は自主管理の市民投票で「市内有権者21万人のうち94.7%が空港反対に投じた」ことをふまえ、このまま市民の声を聞かずに空港建設に突っ走ったら、神戸市会の歴史に大きな悔いと汚点を残す」と述べました。
 この提案に対し、空港推進4会派(自民、民主、公明、あすの神戸を創る会)は「なぜ、昨年、否決された条例案のために、わざわざ市会をひらかなければならないのか」「すでに空港推進は市会できまったこと」などと住民投票反対の討論を行いました。
 また反対3会派(共産・住民投票、さわやか神戸・市民の会)は当局は市民の疑問に答えていないとして、住民投票賛成の討論をおこない、市当局に対し、財政や採算性、安全や環境問題などの質問を行いました。
 これに対し、笹山市長は「昨年秋(98年11月18日)の空港推進決議で、建設の推進が決定され、それに基づき手続きを進めている」と繰り返し答弁しただけで、条例案に対する意見は全く述べませんでした。
 与党=空港推進派が条例案に対する質問をしなかったため、13時に討論は終了。そして記名投票の結果、住民投票賛成23、反対48で、住民投票条例案は否決されました。
 さらに空港着工中止を求める決議案が提案されましたが、これも否決されました。
 そして、翌日10日には、空港島埋め立て予定地にブイが設置され、神戸空港は事実上、着工されます。
「住民投票条例案」再び市会で審議へ(99年9月2日)
 神戸市議会は、市会運営委員会で「住民投票条例案」を審議する臨時市会を開くことを決めました。
 これは8月27日に共産党と「住民投票」の両議員団が申し入れていたもので、9月9日の1日だけ臨時市会を開くことが与野党間で合意されました。
 運営委員会の席上、住民投票議員団は6日間の審議を求めましたが、多数を占める与党会派から審議される住民投票条例案が、直接請求で提案された昨年の案とほとんど変わらないことなどを理由に、臨時市会の会期を1日を主張。多数決の結果、与党の主張が受け入れられました。
 なお、今回の条例案は共産党、住民投票の両議員団10人の連名によって議員提案されます。
 ちなみに現在の市会の勢力については、ここをクリックしてください。
市、空港推進の漁協に115億円 (99年8月31日)
 8月31日、笹山幸俊市長と「摂津漁業協会」の山田春三会長は、空港建設による漁場縮小の漁業補償金として、市が摂津漁業協会に95億円を支払う確認書を取り交わしました。
 摂津漁業協会は98年10月に神戸空港推進の立場を表明し、神戸市当局と漁業補償金の交渉を進めていました。
 さらに市は漁業補償金にくわえて、摂津漁業協会から提案されていた「振興対策費」20億円を摂津漁業協会に支払うことも決め、後日、正式に契約書を取り交わす予定です。
 ところが、この「振興対策費」20億円は金額だけが先に決められ、使い道は全く決まっていません。
 これらはすべて空港建設費3,140億円から支払われますが、その中身が、いかに不透明かがわかる象徴的な例といえるでしょう。
「住民投票条例」議員提案は見送り!! (99年6月18日)
 「神戸空港建設の是非を問う住民投票条例案」6月21日から開会される市議会で、提案されないことが、このほど明らかになりました。
 「神戸空港・住民投票の会」によると同会に賛同している市会「住民投票」議員団と共産党の間で、運動方針の微妙な違いなどから調整がまとまらず、今議会の議員提案を見送ることとなりました。
 また、次に予定される臨時市会で提案すれば「住民投票条例案」が唯一の議案となり、7月から予定されている「自主管理住民投票」と連動し、再び、市民の注目を集められるとの意見も出ましたが、議員提案への結論にはいたりませんでした。

態度不明の2議員、定例市会直前になって「推進派」へ(99年6月13日)
 選挙前、マスコミ各社のアンケートで、神戸空港に対する意見について「凍結」「不明」と回答した2議員が、定例市会直前になって推進派会派(ともに自民党系)に所属することが判明しました。
 2議員のうち西区選出の山下昌毅議員は「空港を凍結し、時間をかけて議論すべき」などとマスコミ各社のアンケートに答えていたにも関わらず、ここにきて「活性化や雇用確保」のためには空港は必要との考えを表明。市会では自民党系の「あすの神戸を創る会」に所属することとなりました。
 垂水区でトップ当選を果たした和田有一朗議員は、選挙戦で神戸空港問題には一度もふれず、マスコミのアンケートでも「態度保留」としていましたが、「1人では何もできない」ことを理由に市会最大会派の「自民党」へ所属しました。
 なお、灘区で「空港凍結・住民投票賛成」を公約に掲げて無所属で当選した井坂信彦議員は市会では「住民投票議員団」に所属して議会活動を行う予定です。
説得作戦「出前トーク」始動 (99年5月11日)
 市幹部が市の施策について市民に説明する「出前トーク」が5月11日より始まりました。出前トーク一番乗りは「NTT労組」など2団体。
 特にNTT労組(空港推進派)は出前トークの数あるメニューの中から「神戸空港問題」を出前、空港を管轄する港湾整備局の幹部3人が、空港計画の概要を説明しました。質疑応答の中で市幹部は市議選結果を踏まえて「空港は二者択一を問う計画ではない」と住民投票に否定的な回答をしました。
 14日には住民投票推進の立場をとる「神戸市民投票を実現する会」が空港問題の「出前トーク」を申し込んでおり、今後は空港反対・疑問派と市当局との「直接対決」が市内各地で展開されます。
 なお「出前トーク」は20人以上の集会であれば市の施策に反対の立場を取る団体でも、市幹部が出向いて説明を行うもので、質疑応答の時間もあります。申し込み方法やメニューなどは神戸市のホームページでご確認ください。
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