第9号コラム〜大地震が再び神戸を襲う?!
兵庫県「地域防災計画」の読み方

1998年8月21日
兵庫県の地震想定地図  阪神・淡路大震災から3年半以上が経ちました。あの大災害以来、全国の地方自治体では「地域防災計画地震編」の大幅改定が相次ぎました。
 地震防災先進県といわれた静岡県の各自治体でも変更を余儀なくされたのです。それだけ阪神・淡路大震災は机上の空論の防災対策より最悪の事態を現実に見せつけたのです。

 さて、その阪神・淡路大震災のお膝元とも言うべき兵庫県は、このほど大震災から2度目の「地域防災計画」の見直しを行いました。
 前回の見直しでは大震災の被害から大まかな地震防災計画しか示されていなかったのです。何しろ近年の日本災害史上では最悪の被害を地元で被っただけに、想定される具体的な震源地はあげず、県内各地で最悪の想定をしたものを「防災計画」としていました。
 ところが今回は、全県を500m四方のブロックに分割し、各ブロックごとに各時間帯の人口、自動車交通量、さらには、それらの季節別変化などを測定、さらには兵庫県で考えられる大地震の震源と、阪神・淡路大震災の被害データを加味し、具体的な被害予測と数値を地域防災計画に盛り込みました。(左の地図)

 特に阪神・淡路大震災を引き起こした兵庫県南部地震では動かなかったとされる活断層「有馬高槻構造線」でM7.7の規模の地震が発生した場合、阪神地区、神戸市では再び「震度7」の激震に見舞われるとし、最悪、阪神・淡路大震災の約2倍の12073人が地震によって死亡するという予測をたてました。(冬の18時〜19時に発生した場合)
 なぜ、阪神・淡路大震災よりも最悪のデータが示されているかというと、夕食の支度時で火を使う時間帯にもまして、冬場は暖房でも火を用いることが多く、大規模な火災が発生する可能性を示し、さらに、通勤帰宅者で満杯の電車の脱線などの被害も想定しているからです。
 兵庫県内の具体的な想定地震と想定被害は下の表を参考にしてください。

「備えあれば憂いなし」「天災は忘れた頃にやってくる」…
 阪神・淡路大震災でブームのようになった「防災対策」。今も続けていますか?
 あなたも地元の「地域防災計画」を見て、表に示された犠牲者数にあなたがカウントされることのないよう、もう一度、大地震が来ても生き延びられる防災対策を見直してください。

地震想定被害一覧表
死者数の色の違う欄は各想定において、最悪の犠牲者が出る時間帯と人数です。
「地域防災計画」で想定されている震源地有馬高槻構造線〜六甲断層帯山崎断層中央構造線日本海沿岸南海道
(和歌山県沖の太平洋)
(参考)
1995年
兵庫県南部地震
(明石海峡)
地震の規模M7.7M7.7M8.0M7.3M8.4M7.2
建物全壊数(棟)165,08658,2059,2131,723642103,998
建物半壊数(棟)144,06693,81712,1472,1623,275136,934
避難者数405,146199,22227,9955,0905,130316,678
焼失棟数67,5424,4167825618,7207,456




3〜4時9,7283,06348091127 6,398

(1995年1月17日午前5時46分)

8〜9時10,4732,83875277461
10〜11時9,6852,59657475353
12〜13時10,8142,80456184391
16〜17時9,4972,56662269404
18〜19時12,0733,057769108605


3〜4時8,9653,01648091127
8〜9時9,3082,74473677281
10〜11時8,4742,50255775173
12〜13時9,2792,71054284161
16〜17時8,3572,49060769208
18〜19時10,3162,90474780277
3〜4時8,6513,01648091127
8〜9時8,7342,74373677281
10〜11時7,8992,50155775173
12〜13時8,5572,69154284161
16〜17時7,7562,47360769208
18〜19時9,3332,84873180277
※M=マグニチュード
※焼失棟数は全県で被害が最大となる季節・時刻のものです。
※「兵庫県南部地震」のデータは兵庫県内での被害状況・犠牲者数です。
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