創刊号斜説〜地に墜ちた?神戸市民のマナー

1997年4月15日
 2〜3か月ほど前、NHKの9時のニュースだったと思うが、神戸が日本で一番たばこのポイ捨てが多い街だと放送されていた。
 それによると特に三宮近辺がひどく、実際、テレビでも平気に火のついたたばこを道へポイ捨てする人が映し出されていた。
 震災復旧工事がまだまだ街のあちらこちらで行われているため、街全体がゴミゴミしていると感じていたが、どうやら、それだけ以上に公道が汚されているようである。
 おそらく、震災の悪い影響がここに来て、市民に定着しているのではないか…と考えられるのである。
 地震直後。破壊された壁などの瓦礫や粗大ゴミは所定の場所(いわゆる「ゴミステーション」)に持って行かなくても、公道に置いておけば、市が(実際は全国から救援に駆けつけた各地の清掃局や清掃業者が)回収するという不文律があった。
 震度7の非常事態なので、ある程度は仕方ないのかも知れないが、その「非常識」を神戸市民…特に歩行喫煙者は、3年目の今も忠実に守っているのだ。
 私はタバコを吸わないので、その気分がわからないが、筆者が街で見かけた限りでは、老若男女問わず、歩行喫煙者は吸い殻を100%路上に投げ捨てている。三宮周辺に公共の灰皿やゴミ箱がたくさんあるにも関わらず…。
 その昔、北野町の異人館街は「ノースモーキングゾーン」として、観光客に対し、喫煙すら禁じた道を設定していたが、震災を乗り越えた神戸市民が自ら復興する街を汚している姿は、神戸の街を愛する者として心苦しい限りである。
 おまけに最近は地球規模で過剰なほどの嫌煙権運動が横行しているが、愛煙家がこんな態度では、自ら「自由にタバコを吸う権利」も路傍に捨てているようなものである。
 自分のためにも、これからの復興のためにも最低限のマナーは守るべきだろう。
 そして、タバコよりも「悪しき被災者意識」を捨てる時期かも知れない。
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