第5号斜説〜なぜ、犯罪に手を染めたバクチの胴元に公的援助ができるのに災害被災者には何もしてくれないの?

1998年1月1日
 まもなくあの大震災から3年を迎える。
 この「斜説」用に、いろいろと構想を巡らせていた昨年末。「山一證券」破綻後の馬鹿な人たちの狂騒が目に付いた。

 兵庫県民が震災前10年間に支払った国税は約10兆円になるそうだ。そのうち震災対策(ほとんどインフラ)に投下された国家予算は3年間で約7兆円(ほとんどインフラ。そのうち神戸港復旧工事には談合の疑いがある)。
 震災復興に、3年で7兆円に対して、金融破綻に至っては、一瞬のうちに30兆円も国が拠出してくれる。

 あなたは「住専」という言葉をご存じだろうか。
 知らなくても恥じることはないが、そんなあなたが馬鹿な官僚と政治家を生み出していることに、少しは責任を感じてほしい。

 かつて、社民党から選出された大蔵大臣は国会で「(不良債権問題で)住専以外に公的資金を投入することはない」と明言した。
 今回の山一證券の破綻は「不良債権」処理の失敗であることは大蔵省も認めていることである。それなのに公的資金投入を検討しているとは。(現時点で・・・)。
 もし、公的資金が投入されれば前出の発言をした現在社民党を離脱した元大蔵大臣氏は、嘘を言ったことになる。
 国会議員=嘘つきは、もう、周知の事実であるが、公約違反といっても、国会の外で言ったこと。彼の場合は「大蔵大臣」の肩書きで国会内で発言したことである。
 証人喚問で嘘の発言をした場合、罰則があるのに、大蔵大臣や彼に、こんなことを発言させた大蔵省は何らかの制裁を受ける必要があるだろう。もちろん、金融機関から政治献金をねだっている政党・議員にも問題がある。(公的資金導入の前に、彼らは金融機関から受け取った政治献金を返還すべきである)
 何しろ彼らは「大震災被災者に個人支援は認めない」と言った。確か「日本は資本主義国家なので、そんなことはできない」とも言っていたような気がする。
 資本主義国家なら、金融破綻で公的資金を導入するのはいかがなものだろうか。繁栄もあり破綻があるのは資本主義社会の摂理ではないのか。日本の場合、政府と金融機関の結びつきは共産主義社会そのもののように見えて仕方がない。国民が関知できない保護行政だから、そこに癒着が生じ、挙げ句の果ては国が破綻してしまうことは共産主義国崩壊の事実が示すとおり、分かり切っている。
 30兆円の金融機関支援策は「将来も金融機関が、不良債権を作っても、国が補償する」という約束手形であり、何ら、金融改革にはなっていないのである。

 被災者に「資本主義社会だから自助努力しろ」と勧めておきながら、金融機関には「自助努力はしなくていいよ」と言っているのである。
 国会議員サイドから言えば、当然のことなのだ。被災者に公的資金をばらまいても、自分の懐には入らないが、金融機関に公的資金をばらまくと、銀行協会、証券業協会あるいは、銀行そのものから「政治献金」が入るのである。

 3年経っても、生活に困窮している人間に公的支援が出来ないのに、選挙権もない会社、しかも今回はバクチまがいの経営をしながら、犯罪に手を染めていた会社に公的支援が総理大臣の胸先三寸で出来るのだから・・・。資本主義万歳、民主主義万歳である。
 市民提案の災害被災者公的支援法、旧新進党などが進めていた阪神・淡路大震災被災者支援法、自民党が提案した災害被災者支援法の3法案は、審議すらされず、次期国会へ継続審議となったままだ。
 被災者が真の公的支援を獲得するには、被災者全員が刑事事件を起こさなければならないのだろうか。

斜説余録〜人間のために税金が遣われない国ニッポン

1998年1月1日
 税金の遣われ方だけを考えれば、被災者支援に限ったことではない。よくよく考えると、この国の税金は「人間」のために使われていない。
 福祉財源確保で創設された「消費税」率がアップしたにも関わらず、医療費負担増の上に「介護保険」などという税金まで徴収しようとしている。  一体、消費税は何に遣われているのか?
 未来の不良債権をも補償することを目的にしている「金融支援」の10兆円(実際は国債なので、資金はないのだが、ゆくゆくは国民が税金で返済しなければならない)もあれば「介護保険」で必要とされる財源の数年分は負担する必要はないはずである。

 税金で作った高速道路を納税者が利用するのに「通行料」を支払わなければならないことに腑に落ちないことはないだろうか。
「介護保険」と同じ理屈なのに、日本国民は誰も怒らない。
 こんな国民だから、極めて無機的な国会議員しか選ばれない。
 しかも、国会議員の中には、普段は居眠りをしているため、ちょっと歩いただけで死んでしまう「生物的欠陥」のある者まで含まれているのだ。

 そして今や道路工事と同じ、年末の風物詩となった「政党助成金目当ての政党分裂劇」。与野党揃って国民の税金を自分の懐に入れることしか考えない議員たち。
 こんなことをしているようでは、プロ野球選手でなくても脱税したくなる。

 今年、日本は、アメリカ合衆国に身売りしているかも知れない...。

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