第7号斜説〜被災者生活再建支援法の正しい読み方

1998年5月1日
画期的な法律
 日本の民主主義史上初めて、市民による提案から生まれた法律が、このほど成立ようとしている。
 参議院を既に通過しており、5月中旬には衆議院でも賛成多数で可決される見通しだ。
 阪神・淡路大震災の教訓を生かし、将来の災害被災者に対する公的支援法が成立したのだ。
 しかし、この法が成立するまで、各党、各団体から10種にのぼる公的支援法案が提唱されてきたが、この法律は、いわば、それらを折衷した形となった。大震災被災者が求めていた市民案からはかなり後退した内容にはなっているものの、災害被災者支援法が出来ようとすることは、喜ばしいことである。

 だが、金融機関の公的支援には数日で決まったのに対し、国民に対する支援法は、なんと大地震から3年3か月もかかっており、この国の政治の腐りきった状況をかえって浮き彫りにしたことも否めない。


具体的な支援とは
この法律では、どのような支援がなされるのか、これから、あなたが大災害に遭わないとは限らないので、具体的に解説したい。

(1)支援の対象となる災害
・ひとつの市町村で10戸以上の住居が全壊
・ひとつの都道府県で100戸以上の住居が全壊

※つぎの住居は、この法律で全壊世帯と同等とみなされる
・半壊だったものの解体した世帯。
・避難生活が長期になり、住宅が使用不能となった世帯など
(2)支援額
対象世帯の年収(災害前年)
0〜500万円〜700万円〜800万円


60歳以上最高100万円最高50万円最高50万円
45歳以上〜60歳未満最高100万円最高50万円0円
45歳未満最高100万円0円0円
 これらとは別に被災地の地理的特性、被災者の健康上理由など特殊な事情で生活再建に必要なものは申請により実費を支給

※今回は盛り込まれていないが、国土庁などでは、今後、転居費用などに対する支援金支給も検討される予定。(あくまでも予定)


阪神・淡路大震災被災者はどうなる?
 5月29日、与党阪神・淡路大震災復興プロジェクトチームはに伴う行政措置を承認し、これを受けて兵庫県は、年内にも行政措置による支援金支給を実行する予定です。
 行政措置は「阪神・淡路大震災被災者」には適用されない「被災者生活再建支援法」に準じますが、すでに復興基金が実施している中高年自立支援金、生活再建支援金を受けている世帯に対しては、その額を差し引いて支給することとしています。

第7号斜説余録〜最近「地震」事情

1998年5月1日
余震の予報?
 気象庁と政府地震調査委員会は、このほど震度5弱以上の地震に対して「余震予報」をおこなうことを発表しました。
 「○日以内にマグニチュード○程度の規模の余震が起こる確率が○%」という形式で発表されます。

 今回、余震予報を政府が一本化することで流言飛語を抑える効果がありそうです。
 何しろ阪神・淡路大震災では、テレビやラジオに出演したアホな地震学者たちが十人十色の「余震警告」をしたために、かえって被災者に無用の心労を強い、流言飛語へ発展していきました。


「野島断層」天然記念物指定へ
 文化財保護審議会は21日、阪神・淡路大震災を引き起こした兵庫県南部地震で地表に出現した淡路島の「野島断層」を国の天然記念物として文部大臣に答申しました。
 指定理由として「人口密集地を襲った大地震の震源断層として極めて重要」としています。
 正式には文部大臣による官報告示で天然記念物となります。
 指定される断層は、露出した約10kmのうち、北淡町小倉地区の185メート。
 指定地点には兵庫県と北淡町が整備した「断層保存館」と隣接する地震被害を受け、永久保存される宅地も含まれます。
 断層は、すでに4月2日にオープンした「断層保存館」で公開されています。21世紀初頭には「北淡町震災記念公園・フェニックスパーク」として整備されます。

 なお、地震断層で国の天然記念物に指定されるのは6件目、1950年の文化財保護法成立以後の地震での断層指定ははじめてとなります。

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