第11号斜説〜神戸空港問題、いよいよ最終決戦へ

1999年1月1日
 「2年間、消費税0%」「神戸空港は国際空港」
 と書かれた指名手配のような自民党市議のポスターを神戸の街でよく見かけるようになった。
 消費税福祉目的化で「増税が必要」との見解が出ているにもかかわらず、地方議員の力で消費税を一時的にせよ0%にすることは神戸空港計画を破棄することよりも難しい。
 それよりも、いつ「神戸空港」が「国際空港」になったのだろうか。市当局ですら、願望はあっても明言はしていない。
 こう言うウソを平気で公言できるバカ議員を神戸市民は震災直後の市議選で大量に選んでしまった…

 あの暑い日、全国的に注目された空港の是非を問う住民投票条例直接請求は、大都市での直接請求としては空前の、そして歴代神戸市長でも獲得できなかった、約31万人の有効署名を集めた。
 皆さんは憶えているだろうか。
 あれから「神戸空港」は、どうなったのか。去年12月あたりから「風見鶏」関係者に全国から問い合わせのメールが相次いだ。
 「風見鶏」では現在もなお、活発に情報を発信しているが、条例否決後、市民やこの問題に注目していた全国の人々のしらけムードは予想以上に加速している。

 神戸空港計画の現状を飛行機にたとえるならば、危険な濃霧の中を飛び立つまでに、この飛行機の離陸を安全に止めることができる段階なのだ。

 その一方で、この住民投票条例制定運動をリードしてきた「住民投票の会」は、条例否決後以来、「会の存続」以外、具体的な運動方針を決めかねている。
 市会で住民投票条例賛成派(=空港反対・凍結派)だった各会派の足並みが、条例否決後、バラバラになっていることにも、その一因はある。
 共産党と「さわやか神戸・市民の会」は市長リコールよりも春の市議選勝利で議員提案による住民投票実施を目指し、新社会党は条例否決の市長責任を明確にするため市長リコールを強く主張している。
 また「さわやか神戸・市民の会」はビラの中で、住民投票臨時市会で同会が出した「条例案審議のための特別委員会設置動議」(臨時市会全記録の11月12日を参照)に共産党と住民投票議員団(新社会党と無所属議員の会派)が反対したことについて「(条例賛成2会派の)党利党略のスサマジサを痛感」とチクリと釘を差している。(※「さわやか神戸市民の会」は条例案が審議された「空特委」に委員がいない)

 いずれにせよ、空港について意見のある者にとっては、この春の市議選が最終決戦となる。
 少なくとも市民の声が一言も反映されない神戸市会を作ってしまった私たちは、反省しつつ、今度の選挙では、反省結果を意思表示しなければならない。
 この選挙で空港反対派候補が大量当選しないことには「神戸空港」はまさにフライトしてしまうのだ。
 あの「住民投票直接請求」が一過性のブームでないことを全国に知らしめるためにも、今から市議選候補者の言動に注意し、春の選挙を迎えたい。

斜説余録〜「民主党ブーム」にだまされてはいけない。

1999年1月1日
 31万人を燃え上がらせた住民投票条例直接請求を一過性のブームにしていけないのと同様、私たちは一過性のブームに流されてはいけない。
 全国に吹き荒れる「民主党ブーム」という妖怪は、おそらく、今年の春、神戸にもやってくるだろう。
 まず、民主党は97年市長選挙で笹山市長を支持していることから「神戸空港推進」政党なのだ。しかも、98年8月31日の「連合5党協」会合で民主党代表者は民主主義の基本である「住民投票署名運動そのものに反対」の立場を鮮明にしている。
 また、昨年、兵庫県選挙区から選出された本岡昭二参議院議員は、当選後にテレビで「神戸空港賛成」を公言している。
 幸い、今の神戸市会には民主党議員はいない。しかし、神戸空港陰の仕掛け人である石井一・民主党副代表のお膝元である神戸市に議員がいないことから、民主党は春の統一地方選挙で神戸市会議員選挙を最重要選挙と考えているに違いない。
 今春の選挙でも、空港推進の新勢力=民主党候補を市会に送り込むようなことだけは阻止したい。
 まさに、今春の市会議員選挙は神戸市民の眼力と良識が問われるのだ。空港推進派があれだけ、条例反対の理由として持ち出した「間接民主主義」を行政の手から、市民の手に取り戻すためにも、ブームで候補者を選ぶようなことはやめていただきたい。
 そして、棄権することも許されない。
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