第13号斜説〜やっぱり住民投票をするべき

1999年5月1日
 空港反対派が議席を伸ばしたとはいえ、徳島市議選ほどの劇的な議会の変化はなかった。
 このリンクで提示している表は、住民投票直接請求の有効署名数と今回の選挙結果を「空港」の観点で比較したものである。
 直接請求署名は必ずしも空港反対派だけが署名したものではないが、署名した307,797人は選管お墨付きの有権者たちである。それに対して、今回の選挙で空港反対・凍結派に投じた有権者は206,446人。単純に考えれば署名した人のうち10万人は推進候補に投票したと考えられるもいえるが、これは住民投票ではない。神戸を取り巻く問題は空港問題だけではないので、この結果は仕方のないことともいえる。
 さて、これからは「限られた未来」を見つめて話を進めたい。
 空港推進議員はこれまで「空港以外の経済対策はあるのか」という常套句で反対派を論破してきたつもりらしいが、推進派にも同様の見落としがあるのではないか。
 莫大な借金で神戸空港が完成させたのはいいが、果たして、その借金を返すあてはあるのか。返済財源となる空港島などの土地の売却益、市の皮算用を下回ると市自身が言っている空港着陸料…。これらの収入が「皮算用」を下回った場合、どうするおつもりなのか。
 推進派は口をそろえて「神戸経済の回復には空港は必要」と言うが、一歩間違えば経済の足を引っ張りかねないのではないか。
 空港反対派に「対案を示せ」と言うのであれば、推進派も最悪の事態に備えた「代案」を市民に提示すべきである。
 子や孫に莫大な借金を押しつける可能性がある計画に胸を張って「百年の大計」とは豪語できないだろう。
(98年11月18日の空港推進決議では市民に負担をかけないことだけは記されているが、最悪の場合の負担をどこに委ねるのかは明示されていない)
 6月にも議員提案によって、住民投票条例案は再び市会で審議される予定である。推進議員が「市民の代表」と言えるのなら「マイナス要素」も示して、もう一度、空港について市民の判断を仰ぐべきである。
風見鶏 >> バックナンバー >> 第13号斜説