第18号斜説〜相次ぐ立候補表明…でも、これでいいのか?

2001年8月31日
 10月28日投票の神戸市長選挙に向けて、続々と立候補表明が相次いでいる。
 8月末現在で、公に立候補を表明した人が4人。立候補に向けて何らかの活動を進めている人が3人。さらに水面下では数名の名前が「候補予定者」としてあがっている。
 震災復興も総仕上げの段階に入り、それぞれの立候補予定者の「公約」には大きな差異はなく、また神戸市の十八番である開発行政も現市長の後継といわれる元助役を含めて、これまでの開発行政の見直しを訴えている。
 唯一、各候補者で意見が割れているの「神戸空港」問題だ。
 中島絢子氏は住民投票をするまでもなく建設中止の立場をとり、池上徹氏と今後、立候補表明が予想される浦上忠文氏、木村史暁氏は住民投票などで市民に是非を問うとしている。
 また中江章浩氏は現在の空港の存在に反対を示しているが神戸に空港は必要との認識を示し、矢田立郎氏は国内線だけではなく、国際ビジネス便やチャーター便も利用できる空港を目指したいとしている。

 ところで前回の市長選挙で笹山市長と接戦した候補を担ぎ出した市民団体が、今回の市長選挙の取り組みで、ごたついている。
 それは前回同様、政党を中心として市長選を戦うか、それとも政党色を表面に出さず「市民派」の選挙として戦うか…この方針の違いで事実上分裂状態なのだ。
 候補者乱立は選択肢が増えていいように思えるが、市民団体内部のゴタゴタは、有権者にとって、市長選挙をますますわかりにくくしている。これでは市民団体側も笹山行政と同じく「市民不在」と思われても仕方がないだろう。
 公約が似たり寄ったりの候補が乱立した場合、組織がしっかりしている候補に有利に働くことは、1999年の市会議員選挙の結果でも示されており、現状では前回選挙のような接戦は望めないだろう。
 しかし現在、立候補を表明、あるいは予想される人のほとんどは98年の住民投票運動の運動体とは一線を画した人たちである。このことを考えると、ゴタゴタしている住民投票運動をリードした人たちや団体に対する市民の求心力は失ったのかもしれない。

 その一方で、今回の市長選挙ではこれまでの市長選挙になかった取り組みが市民や学生、経済団体などで進められている。これは立候補予定者による討論会の開催である。
 与野党や団体のしがらみを離れた市民が自分の力で市長を決めようという意思の表れである。もし、投票する人を迷っているような場合は、このような討論会にふるって参加することをお薦めしたい。開催日時は新聞の地方面に掲載されているので要チェックである。
 立候補の受付は10月14日。いったい何人の立候補者が出てくるのであろうか…。

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