電子陪審・酒鬼薔薇聖斗事件

最終更新:1997年7月25日
▼この企画は、酒鬼薔薇聖斗事件の全体像を大学教授や精神学者ばかりではなく、一般の視点からでも考えていこうという主旨で始めました。決して容疑者を責めることだけを目的とした企画ではありません。
▼なお、この企画は酒鬼薔薇聖斗が容疑者でなくなった7月25日で終了いたしました。
 これからは少年とはいえ司法によって事件の解明がなされるため、そちらにすべてを委ねたいと思います。

6月29日〜7月25日までに寄せられた陪審です
評決を受けている人:(括弧内は、各人に寄せられた評決の数です=順不同)
▼風見鶏(1)
▼須磨警察署の中継で騒いでいた子供と茶髪(2)
▼社会 容疑者 やじうま(1)
▼少年法改正を唱える人(1)
▼事件の原因を学校教育に結びつけたがる人たち(1)
▼マスコミ(2)
▼湯川レイ子氏(1)
▼自分自身(1)
▼「国」、及び「法」の運用者(1)
▼酒鬼薔薇聖斗(4)

●風見鶏に対して
評決=再考してください
評決理由
 私を含め、このコーナーにメールする人は、事件に関する情報をマスコミなど(風見鶏を含む)からしか得ておりません。
 そうした偏った情報しか得られていない人を「陪審員」として評決や弁護をさせるのはきわめて悪質な遊びだと考えます。
 これまで風見鶏の姿勢を評価していたのに実に残念です。(東京都大田区・ABCさん 7/9)

●須磨警察署の中継で騒いでいた子供と茶髪に対して
評決=この事件に対する感想文を原稿用紙10枚ぐらい書かせる。
評決理由
 同じ神戸の人間として情けない。雑誌社に容疑者の写真を売った友中生もどうかしているが、警察署近辺の小中学生と、その家族、担任教師は、今回の事件の持つ意味をよく考えるべきだ。あの中から第2の酒鬼薔薇が生まれてくるかも知れない。(神戸市垂水区・一神戸市民さん 7/2)

評決=道徳教育の徹底
評決理由
 容疑者が逮捕されて嬉しいのはわかるが、レポーターの後ろでVサインをしたり、携帯電話をかけたりする神経がわからん。この事件では尊い人命を失っているのに、あのはしゃぎ方はないと思う。
 阪神大震災で神戸の人は野次馬に「来るな」と非難していたが、あれを見せられると神戸の人の言うことは信用できない。
 いったい、震災で何を学んだのだろうか。命の尊さについて勉強するべき。
 道徳教育のついでに言っておくが、教育テレビ!!「虹色定期便」みたいな現実離れした道徳番組を作るから現実と空想の区別が付かない子供が育ってしまうんやないのか?(大阪市中央区・Fさん 6/30)

●社会 容疑者 やじうまに対して
評決=法律改訂
 容疑者には実刑判決
評決理由
 本来、保護されるべきの被害者が、家が特定されるような報道をされ、本名を公表され、ナーバスになっている家族の神経を逆なでされているのに、罪を犯した容疑を掛けられているものが、人権擁護などと叫んでいる。
 少年であったら、罪を犯してもいいのか?ましてや、人を殺してもいいのか?
 その少年の一生が台なしになるから、と言うのなら、殺された少年の一生はどうなるというのか。
 どんなことをした者であっても、人権はあるというのなら、被害者には、被害者の家族には、人権はないというのか。
 未成年だからという理由で、殺人を容認するのは、明らかにおかしい。
 殺人を犯してはいけないことくらい幼稚園児でも知っている。
 知らないのなら、それは、親や周りの環境が悪い。
 あと、好奇心で神戸を訪れる、傍観者たち。
 あなたたちが、面白がって見にいく神戸には、たくさんの人達の生活と思いがある。
 あなたが何かの罪でつかまったとき、全国からあなたを見に人が集まってきていい思いはするのか。
 あなたの家族が殺されたとき、見しらぬ人が家を覗き込むのを、あなたは歓迎するのか。
 殺人事件は、イベントではない。(東京都新宿区・Hさん 7/9)

●少年法改正を唱える人に対して
評決=差し戻し
評決理由
 少年法を改正、厳罰に処するようにしてほしいという意見に対して異議があります。
 これらの人たちは、法改正を何だと思っているのでしょうか。少なくとも、国家が被害者に代わって復讐するのが、現代の法の精神ではないでしょう。死刑制度などは、刑吏を殺人者にして復讐するというのでしょうか。正義のためなら人殺しも許されるなら、人殺しにも善悪があるということになりますが、人殺しは人殺しです。
 水前寺さんは、「(少年法の精神には加害者の)少年に将来があるとはいうが、それなら殺された淳君の将来はどうなるのか。個人的には少年法を厳しくしてほしいと思う」と言っているようですが、もう一歩踏み込んで考えれば、被害者の命は失われたけれど、そこで加害者の人生まで奪ってしまうなら、失われるものは被害者の命と加害者の後半生ということになります。
 これは単純な算数の問題です。1つ失われるのと2つ失われるのではどちらの損失が大きいでしょうか、というだけのことです。無論、加害者の少年のしたことは許されないでしょうが、許されないなりに、社会にかけた迷惑を何らかの方法で還元できる人間にさせることの方が得るものがあるのではないでしょうか。
 少なくとも、加害者の少年を許せと言っているわけではありません。やられたらやりかえす、では、加害者同じレベルだと言っているだけです。(東京都足立区・Sさん 7/10)

●事件の原因を学校教育に結びつけたがる人たちに対して
評決=有罪
評決理由
 学校教育や社会の歪みが生んだ事件だと言っている人たちがいるが、それは、結局、子供の世界でのイジメを大人社会でやっているに過ぎない。
 かえってこれは、本人の責任を不明確にする、一種の甘やかしですよね。何で、社会に彼らをしつける義理があろうか。教師ですらしつけなどする義理はない。
 せいぜい親にはその義務はあるだろうが、親に責任能力がないから学校に責任を負わせるのか。
 教師なんて数年のつきあいです。親がどんなしつけをしてきたかも分からないのに、1学級40人のしつけなんてできゃあしませんよ。親ができなかったしつけを何で他人である教師ができるんですか。
 また、それを当たり前のように学校がするものと勘違いしているバカ親が間違ったしつけをしていないとも限らないのに、何年もかけて教えこまれた間違ったしつけも、それを3年やそこらで修正するなんてこともできるわけがない。
 「これは教師の教えることで、これは親が教えることって決められてるものではないと思うんですよ。どちらにも躾る責任があると思うんです」という人もいるが、「人を殺してはいけませんよ」というのは、どちらがしつけることなのでしょうか。
 教師が教えるのは学科だけでいいと思います。余計なことにまで口をはさんで欲しくもないですね。
 しつけは社会全体が考えるべきことですが、アカの他人のガキのしつけはしません。たとえば、将来、会社で机を並べる危険や寝食をともにする危険があるならしつけもしましょうが、自分に将来にわたってかかわる者以外をしつける動機がないんですよ。(東京都足立区・Sさん 7/8)

●マスコミに対して
評決=みんな自分で考えよう
評決理由
 最近,少年犯罪の増加や治安の悪化が声高に叫ばれていますが、前TVを見ていたとき福島章氏が以前より少年犯罪は減ってきている。と言う話に興味を持ち調べてみました。
 すると、なんと2,30年ぐらい前は今の倍近く少年の殺人事件はおきているではないですか!!
 それ以前の戦後とかになるともうめちゃくちゃ。多分その前の昭和初期、大正、明治はきっともっと凄いことでしょう。
 つまり、今のマスコミの報道は嘘です。
 いや、近視眼的に4、5年を見ればそうかも知れませんが、今の少年が云々などといい大人が騒ぎ立てるのはおかしい!自分たちの若いころはもっと凶暴で物騒だったくせに。
 私が子供の頃米には石ころがたまに入っていました。それなのにタイ米を馬鹿にするようなことをいう婆さんと似たような感じがします。
 長く生きてきた人は自分たちの生きてきた過去を忘れてしまったのでしょうか?ちょっと調べてみると、今とは比べものにない物騒な時代ですよ。
 派手に扇情的に報道すれば視聴率も上がり、部数も伸びる。でもその結果、社会全体が不安になり、神経症的に過敏になってゆく。
 報道はもはや現実を反映しない、いやしているかもしれないが、ほんのちょっとしたことに右往左往して落ち着きのない定見のない小人物の視点しか持ち得ないのですか?昔はもっと大人の余裕をもった視点をもちえたような気がするのですが。
 仮想現実と関連づけて最近の事件を語る識者が多いですが、今一番の仮想現実は報道だと思います。昔はそんなに物騒でもみんな落ち着いていた。
 なくなるに越したことはないでしょうが、犯罪は根絶はできないでしょう。一億以上の人間がいるのですから変なやつもたまにはでるでしょう。
 人間は工場の製品ではないのです。今の社会をみていると製品の歩留まりをよくして不良品のでるパーセンテージを低くしようとしている大工場のようです。
 報道はつまり掲示板ですね。今日の不良品の原因は?数は?そして不良品がでないようにがんばろう,とかいうような・・。
 これは、キリがありません。誰もそういうことを考えないのでしょうか?
 大きな長いスパンで考えてくれる番組をつくってくれませんかね?
 でも,地味だから無理か。
 追伸ー勿論この文章は犯罪を肯定するものではありません。
 でも、歴史をみると人間は凶暴なものだとすぐわかるではないですか。(東京都・naomiさん 7/6)

評決=業界永久追放
評決理由
 各ワイドショーが犯行声明文を一行づつ分析していたのはあきれた。
 大まかに紹介し、「この声明文から犯人は....の様な人物ではないかと思われます」程度なら理解は出来るが、自分の番組が推理ドラマで、さらに事件が「お話」であると勘違いしているとしか思えない。
 さらに、酒鬼薔薇聖斗が逮捕された後には、小学校の時の文集との比較や声明文を書いたのが中学生だとして再度検証、といったことを行っている。
 ワイドショーがそんなことをすべきではないという事はさっき書いたので当然だが予想を言い当てた....つまり、声明文という文章から犯人像を推定できる能力のある人物が再度検証を行うのならまだしも、お粗末な予想をした人にもう一度見てもらったところで何も有用な情報など得られるはずはない。
 よって「報道番組が実在の事件を使って行うべきではない企画を行った」罪により、各ワイドショーのプロデューサーを業界永久追放の刑に処す。(秋田県秋田市・Kazさん 7/3)

●「国」、及び「法」の運用者に対して
評決=公務員クビ(笑)
評決理由
 「国としての制度・法」の運用がおかしいと最近特に感じる。
 これは「公務員」だけを責められるものではなく、「人の親」の全てにも責任があると思う。
 ただ、制度や法は、「国」に就職した人々が直接運用している訳だから、その罪は重い。
 僕らの少年時代にも「未成年の特権」は十分意識していた、でも酒鬼薔薇聖斗や「麻原」のように「実行」には移さない・・と言うより考えもしなかった。
 少年法の本来の意図は決して「愉快犯」や「確信犯」を救う為に先人が考えた物では無いはず。
 世紀末の今だからこそ、「平等」と「公平」の違いを全ての運用者は認識すべきではないだろうか?
 制度は「公平」で在るべきで、法は「平等」であるべきだと僕は思う。「人殺し+未成年=擁護」を全ての人に適用するのは「公平」のそれであり、「平等」とは違う。
 今回、一番「擁護」されるべきは「酒鬼薔薇聖斗の両親や血縁者」であり、また、「責任があるのも同者」であると思う。
 彼らを「社会的抹殺」、ひいては「自殺」に追い込む込む事が容易に大人であれば想像出来るのに「フォ−カス」は一線を越えた。
 闘うべきは「運用者」であるのに、彼らは「弱い者」を叩きのめした。
 彼らも「言論の自由」の運用を誤っている者である事を自覚すべきであり、やっている事は「法の運用者」と変わらない。
 酒鬼薔薇聖斗を「ミセシメ」にするのはお門違い、「麻原」や「オウム」にさっさと決着を付けない「法の運用」が「世紀末、酒鬼薔薇聖斗」を生んだのだと僕は思う。(東京都練馬区・Uさん 7/3)

●湯川レイ子氏に対して
評決=無期懲役
評決理由
 湯川レイ子氏の発言の内容は、へヴィーメタルを蔑視しているとしか思えない。(長野県長野市・Kさん 7/3)

●自分自身に対して
評決=深い反省とこの教訓を忘れないこと
評決理由
 テレビの報道で犯人が中学3年生だということを知り、この事実を知った多くの人々と同じように、大変なショックを受けました。
 そしてまた、犯人が中学3年生の少年であるにも関わらず、学校名や、家族構成などを明かし、通常の大人の刑事事件と変わらない(もしくは、それ以上の)報道合戦を続けるマスコミにもショックを受けました。
 しかし何よりショックを受けたのは、そうした報道合戦を追いかけて、チャンネルを次から次にまわしている自分自身に対してでした。私のような視聴者がいるからこの報道合戦は続くわけで、興味本意でチャンネルをまわす視聴者がいるからワイドショーでは事件を推理ゲームのように演出してしまうのです。が、しかしです。事件に対して興味を持つこと自体は罪なのでしょうか?
 自分自身を弁護するわけではありませんが、こうした事件を社会全体のゆがみであると捉え、興味を持つこと自体は決して悪いことではないと思います。
 けれどもその興味を、まるで犯人の少年が言ったゲームのように、脚色して報道したマスコミはやはり間違っていると思いますし、そのマスコミの報道に本来持っていた事件への興味とは別の、ある種の「興味本位」を駆り立てられてしまった、私を含む視聴者も反省しなければならないと思います。今回の事件は確かに特異な事件だと思います。
 しかし、マスコミの脚色した報道がなければ、これほどまでに世間を騒がせていたかどうか、また、犯人が少年であるにも関わらずここまで過剰な報道がされていたかどうかには疑問が残ります。この点に関しても、今回の報道とは直接関わっていなかったとはいえ、フリーライターとしてマスコミの片隅に身を置く者のひとりとして、やはり重く受けとめなければいけないと感じています。
 長くなりましたが、視聴者のひとりとして、また、マスコミに身を置く者のひとりとして、自分自身に判決を下したいと思います。(大阪市北区・Oさん 6/30)

●酒鬼薔薇聖斗に対して
弁護
弁護理由
 推定無罪。
 先にメールを送った時点でも、又現在も。自供以外に確たる証拠がない。
 脅迫文はなるほど、A少年のものでしょうが。だからといって、犯人とはならないでしょう。
 もしかしたら、少年の妄想なのかも分からないではないか?
 マスコミ報道は、噂の集積から成り立っておりとうてい信用できません。(鳥取県米子市・SOSさん 7/4)

評決=灰谷健次郎と往復書翰をすること
評決理由
 確かに酒鬼薔薇は今日の朝日新聞に載っていた〈愛する「バモイドオキ神」様へ〉で始まる日記を読んでもひどい奴だと思う。
 しかし確かに文章力はある。僕が14.15歳の頃にはあんな文章は書けなかった。
 酒鬼薔薇には少年院で大江健三郎の小説でも読んで、プロの作家になるための勉強をして欲しい。
 少年院を出るまで、1日3枚以上、毎日、文章を綴ること。そして灰谷健次郎と往復書翰をすること。(東京都新宿区・ムキンポ小僧さん 7/19)

評決=市中引廻しの上打ち首、さらしくび
評決理由
 少年法は悪法です。今回のケースのような凶悪犯罪を犯す少年に更正の見込みなし。
 最長2−3年の少年院ぐらしなど生ぬるいし、数年後の須磨のみなさんがまた恐怖に震えるだけ。
 ゆえに社会から物理的に抹消しましょう。
 実名報道、写真掲載について有識者づらした連中は少年法および人権を盾に非難してるが淳君の人権を奪ったさかきばらに自分の人権を主張する権利など無いのです。
 犯罪者の人権を大事にする識者の皆さんは被害者の人権など頭に無いのかな?
 時代がかった判決の意味は犯罪抑止の為です。
 自分が犯した犯罪と同等の刑を処する事と、さらに、さらしものにすることで家族、親族に迷惑が及ぶ事を世間に知らしめる事でいくらかは凶悪犯罪が減少するのでは?
 なお、周辺の環境(アホ校長をはじめとする人々)は無罪です。
 家庭環境、学校環境、その他ホラービデオの影響で凶悪犯罪に走ったなんて言うのはアホです。
 環境が悪いから今回のような犯罪が起きるなんて言ってたら毎日校門に誰かの首が飾られてしまいます。(神奈川県横浜市・あううさん 7/3)

評決=懲役10〜無期懲役
評決理由
 こんな事件を起こしておきながら、1年から2年がたったら、また社会に放すのでは、こんな事件の再発を助長しているにすぎない。
 未成年であれ殺人を起こしたことは明確なのだからきつい評決を加えるべきだ。(岡山県岡山市・Hさん 7/2)

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