資料・酒鬼薔薇聖斗の犯行声明文

最終更新:1997年7月1日
第1犯行声明(5月27日、殺害された小学生の頭部に添えられた声明文)
第2犯行声明(神戸新聞社に送りつけられた声明文)
公表された犯行メモ
作文「懲役13年」

【第1犯行声明】

さあゲームの始まりです
愚鈍な警察諸君
ボクを止めてみたまえ
ボクは殺しが愉快でたまらない
人の死が見たくて見たくてしょうがない
汚い野菜には死の制裁を
積年の大怨に流血の裁きを
SHOOL KILLER
学校殺死の酒鬼薔薇

※この声明は、編集部で便宜上、色分けをしています。文字色の意味は下記の通りです。
赤色=5月27日に公開された文章
緑色=5月31日に公開された部分
  記号部分も、この日に公開された。
  「野菜共」の「共」は、この日、平仮名で発表されている。
  また、この日、初回に公表された声明の、3行目と4行目の順序が逆だったことが発表されている。
青色=6月6日、神戸新聞社声明で、新たに判明した部分
  4行目「ボクは殺しが…」は、これまで「私は…」と公開されていた。
  (「SHOOL KILLER」の箇所は、第1犯行声明で、当初発表の通り「SHOOL KILL」となっていたという未確認情報もあります)


【第2犯行声明】
(1枚目)
神戸新聞社へ
  この前ボクが出ている時にたまたまテレビがついており、それを見ていたところ、報道人がボクの名を読み違えて「鬼薔薇」(オニバラ)と言っているのを聞いた
  人の名を読み違えるなどこの上なく愚弄な行為である。表の紙に書いた文字は、暗号でも謎かけでも当て字でもない、嘘偽りないボクの本命である。ボクが存在した瞬間からその名がついており、やりたいこともちゃんと決まっていた。しかし悲しいことにぼくには国籍がない。今までに自分の名で人から呼ばれたこともない。もしボクが生まれた時からボクのままであれば、わざわざ切断した頭部を中学校の正門に放置するなどという行動はとらないであろう
  やろうと思えば誰にも気づかれずにひっそりと殺人を楽しむ事もできたのである。ボクがわざわざ世間の注目を集めたのは、今までも、そしてこれからも透明な存在であり続けるボクを、せめてあなた達の空想の中でだけでも実在の人間として認めて頂きたいのである。それと同時に、透明な存在であるボクを造り出した義務教育と、義務教育を生み出した社会への復讐も忘れてはいない
  だが単に復讐するだけなら、今まで背負っていた重荷を下ろすだけで、何も得ることができない
  そこでぼくは、世界でただ一人ぼくと同じ透明な存在である友人に相談してみたのである。
  すると彼は、「みじめでなく価値ある復讐をしたいのであれば、君の趣味でもあり存在理由でもありまた目的でもある殺人を交えて復讐をゲームとして楽しみ、君の趣味を殺人から復讐へと変えていけばいいのですよ、そうすれば得るものも失うものもなく、それ以上でもなければそれ以下でもない君だけの新しい世界を作っていけると思いますよ。」
  その言葉につき動かされるようにしてボクは今回の殺人ゲームを開始した。
  しかし今となっても何故ボクが殺しが好きなのかは分からない。持って生まれた自然の性としか言いようがないのである。殺しをしている時だけは日頃の憎悪から解放され、安らぎを得る事ができる。人の痛みのみが、ボクの痛みを和らげる事ができるのである。
最後に一言
  この紙に書いた文でおおよそ理解して頂けたとは思うが、ボクは自分自身の存在に対して人並み以上の執着心を持っている。よって自分の名が読み違えられたり、自分の存在が汚される事には我慢ならないのである。今現在の警察の動きをうかがうと、どう見ても内心では面倒臭がっているのに、わざとらしくそれを誤魔化しているようにしか思えないのである。ボクの存在をもみ消そうとしているのではないのかね
  ボクはこのゲームに命をかけている。捕まればおそらく吊るされるであろう。だから警察も命をかけろとまでは言わないが、もっと怒りと執念を持ってぼくを追跡したまえ。今後一度でもボクの名を読み違えたり、またしらけさせるような事があれば一週間に三つの野菜を壊します。ボクが子供しか殺せない幼稚な犯罪者と思ったら大間違いである。
  ―ボクには一人の人間を二度殺す能力が備わっている―

(2枚目)
P・S 頭部の口に銜えさせた手紙の文字が、雨かなにかで滲んで読み取りにくかったようなのでそれと全く同じ内容の手紙も一緒に送る事にしました。

【公表された犯行メモ】
H9・3・16
 愛する「バモイドオキ神」様へ
 今日人間の壊れやすさを確かめるための「聖なる実験」をしました。その記念としてこの日記をつけることを決めたのです。実験は、公園で一人で遊んでいた女の子に「手を洗う場所はありませんか」と話しかけ、「学校にならありますよ」と答えたので案内してもらうことになりました。ぼくは用意していた金づちかナイフかどちらで実験をするか迷いました。最終的には金づちでやることを決め、ナイフはこの次に試そうと思ったのです。ぼくは「お礼を言いたいのでこっちを向いて下さい」と言いました。女の子がこちらを向いた瞬間、金づちを振り下ろしました。
 2、3回殴ったと思いますが、興奮していてよく覚えていません。階段の下に止めておいた自転車で走り出しました。途中、小さな男の子を見つけ、あとを付けましたが、団地の中で見失いました。仕方なく進んでいくと、また女の子が歩いていました。女の子の後ろに自転車を止め、公園を抜けて先回りし、通りすがりに今度はナイフで刺しました。自転車に乗り、家に向かいました。救急車やパトカーのサイレンが鳴り響きとてもうるさかったです。ひどく疲れていたようなので、そのまま夜まで寝ました。「聖なる実験」がうまくいったことをバモイドオキ神様に感謝します。

H9・3・17
 愛する「バモイドオキ神」様へ
 朝、新聞を読むと昨日の「聖なる実験」のことが載っていたので驚きました。2人の女の子は死んでいなかったようです。人間というのは壊れやすいのか壊れにくいのかわからなかったけど、今回の実験で意外とがんじょうだということを知りました。

H9・3・23
 愛する「バモイドオキ神」様へ
 朝、母が「かわいそうに。通り魔に襲われた女の子が亡くなったみたいよ」と言いました。金づちで殴った方は死に、おなかを刺した方は回復しているそうです。人間は、壊れやすいのか壊れにくいのか分からなくなりました。捕まる気配はありません。目撃された不審人物もぼくとかけ離れています。これというのも、すべてバモイドオキ神様のおかげです。これからもどうかぼくをお守り下さい。

H9・5・8
 愛する「バモイドオキ神」様へ
 ぼくはいま14歳です。そろそろ聖名をいただくための聖なる儀式「アングリ」を行う決意をしなくてはなりません。「アングリ」を遂行する第一段階として学校を休むことを決めました。いきなり休んでは怪しまれるので、自分なりに筋書きを考えました。その筋書きはこうです。

※この「犯行メモ」は捜査本部が公開した部分だけを掲載していますが、実際は大学ノート1冊にビッシリと書かれているといわれています。今後の審判の重要な証拠として、そのほとんどは公開されていません。

【懲役13年】
 いつの世も同じことの繰り返しである。止めようのないものは止められぬし、殺せようのないものは殺せない。時にはそれが、自分の中に住んでいることもある。「魔物」である。
 仮定された「脳内宇宙」の理想郷で、無限に暗くそして深い腐臭漂う心の独房の中… 死霊の如く立ちつくし、虚空を見つめる魔物の目にはいったい何が見えているのであろうか。「理解」に苦しまざるを得ないのである。
 魔物は、俺の心の中から、外部からの攻撃を訴え、危機感をあおり、あたかも熟練された人形師が、音楽に合わせて人形に踊りをさせているかのように俺を操る。それには、自分だったモノの鬼神のごとき「絶対零度の狂気」を感じさせるのである。到底、反論こそすれ抵抗などできようはずもない。こうして俺は追いつめられていく。「自分の中」に…
 しかし、敗北するわけではない。行き詰まりの打開は方策でなく、心の改革が根本である。
 大多数の人たちは魔物を、心の中と同じように外見も怪物的だと思いがちであるが、事実は全くそれに反している。通常、現実の魔物は、本当に普通な彼の兄弟や両親たち以上に普通に見えるし、実際そのように振る舞う。彼は徳そのものが持っている内容以上の徳を持っているかの如く人に思わせてしまう… ちょうど、蝋で作ったバラのつぼみやプラスチックでできた桃の方が、実物が不完全な形であったのに、俺たちの目にはより完璧に見え、バラのつぼみや桃はこういう風でなければならないと俺たちが思い込んでしまうように。
 今まで生きてきた中で、敵とはほぼ当たり前の存在のように思える。良き敵、悪い敵、愉快な敵、不愉快な敵、破滅させられそうになった敵。しかし、最近、このような敵はどれもとるに足りぬちっぽけな存在であることに気づいた。そして一つの「答え」が俺の脳裏を駆け巡った。
 「人生において、最大の敵とは自分自身なのである」
 魔物(自分)と闘う者は、その過程で自分自身も魔物になることがないよう気をつけねばならない。深淵をのぞき込むとき、その深淵もこちらを見つめているものである。
 「人の世の旅路の半ば、ふと気がつくと、俺は真っ直ぐな道を見失い、暗い森に迷い込んでいた」
※この「懲役13年」の原文の「魔物」の箇所は赤字で書かれているといわれています。
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