第7号コラム〜神戸市、ついに「非核神戸方式(神戸港非核決議)」を放棄!!

1998年5月28日
 神戸港に11年ぶりに軍用船が入港してきました。
 5月28日、神戸港内にある自衛隊の港湾施設にカナダの軍艦が入港しました。

 しかも、このカナダ軍艦、1975年、市議会全会一致で決めた「神戸港非核決議(非核神戸方式)」で義務づけられた「非核証明書」を神戸市長に提出せずに入港したのです。

 神戸市当局は「神戸港非核決議(非核神戸方式)」に基づき、カナダ軍艦入港に際して在阪のカナダ総領事館と外務省に「非核証明書」の提出を求めてきましたが、外務省は「カナダは核不拡散条約締結国で、核兵器を所有していない」ということを理由に、 「非核証明書」の提出を拒否し、この日の入港となりました。
 このことは、国家機関による地方自治と民主主義の軽視、じゅうりんと同時に、最近特に盛り上がっている「核」問題の動向に背を向ける行為です。
 しかも、過去には、インドの軍艦でさえも「非核証明書」を神戸市長に提出しているのです。
 建前上、核を持っていない国の軍艦だから安全な軍艦であるという常識は、国際的に成り立たない時勢に、外務省の態度には、憤りを感じます。

 もっと、怒りを覚えるのは、カナダ軍艦神戸入港の理由として「震災被災者の激励」が含まれていることです。
「カナダの子どもたちが震災被災者にあてた絵やメッセージを神戸へ届ける」というものですが、わざわざ軍艦に乗って届ける必要はないはずです。
 風見鶏でもたびたび主張してきましたが、軍艦に乗って「親睦と友好」を深めるなどとは、一般常識でもおかしな行為です。
 これまで、カナダを含めて、7か国が神戸港入港の際に「非核証明書」を提出しているのですから、まさに、今回は掟破りの「神戸港侵略」と言っていいでしょう。

 また、外務省の横暴に屈服した神戸市当局の態度についても、問題です。
「風見鶏」では半年前に発表した第4号(97年11月)掲載のコラムで、笹山市政が「非核神戸方式」を破棄する可能性を既に指摘。それが、98年5月28日に現実となったのです。
 「核廃絶」時代に逆行する神戸市当局の姿勢にも増して、この事実で神戸市民の「有権者の素質」と「平和意識」のなさが改めて浮き彫りとなりました。

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