98年11月の神戸空港ニュ〜ス

最終更新:1998年11月26日
「陳情の後始末」空港特別委員会は中止!! (98年11月26日)
 条例否決後の初めての空特委が26日午後2時より始まりましたが、この日の空特委は「先の臨時市会での委員会審議の経過を公表せよ」といった主旨の陳情が3件も提出され、しかも陳情提出者が委員会室に入られない事態となりました。
 そもそも、今回の空特委は臨時市会で審議された住民投票条例案に対する陳情の一部が未処理になっていたことから開かれる予定でしたが、委員会室に用意された傍聴席が臨時市会と違って40席しかなく、しかもロビーでのスピーカーによる傍聴もなかったことから、委員会室に入りきれなかった市民らが抗議。結局、この日の審議は中止されました。
 傍聴者から出た「委員会傍聴席を増やす」「ロビーでのスピーカーによる傍聴」といった意見は、今後の議会運営委員会に諮られ、議運の決定後、空特委を再開することとなりました。
「陳情の後始末」空港特別委員会は11月26日開会 (98年11月20日)
 臨時市会は「もう終わったこと」と思っていませんか?
 実はまだ審議されなかった市民からの陳情が残っており、これらを「処理」する空港特別委員会を11月26日14時に開くことを、20日の市会本会議で了承しました。
 未審議の陳情については臨時市会最終日だった18日の午前中に開かれた議会運営委員会で、その取り扱いが検討されていました。
 しかし「住民投票議員団」の委員が17日の空特委採決の無効を主張し、会議の途中で退席したため、事実上、棚上げ状態になっていました。
 18日の議会運営委員会では、与党の一部から臨時市会本会議直前に「抜き打ち委員会」を開いて一括処理する動きもありましたが、この議題をひとまず理事会に預けることが決まっていました。
 市民から出された陳情は412件もあり、臨時市会ではすべてを取り扱うことができませんでした。
 すでに条例案は否決されているため、11月26日の空港特別委員会は形式だけのものとなりそうです。
 なお、20日の本会議では、12月17日の定例議会で、空港島埋立申請手続きが行われることが決定されました。
 余談ですが、市会事務局によると、20日の本会議の傍聴者は1人だけだったそうです。
運輸大臣は市にガツンと言ってくれるのか?〜「住民投票の会」が運輸大臣に陳情(98年11月17日)
 現在、臨時市会で審議されている「住民投票条例案」を提出した「神戸空港・住民投票の会」の代表世話人らは、17日13時30分、東京霞ヶ関の運輸省を訪れ、川崎二郎運輸大臣に面会しました。
 川崎運輸大臣は「市に意見を言える立場ではないが(住民投票条例直接請求署名30万人の)市民の熱意はわかる」と、直接請求に一定の理解を示し、「市から埋立認可申請が出されたときは、運輸省として当局者へ、しっかりとモノを言いたい」と語りました。
 このあと「住民投票の会」は記者会見を開き、住民投票条例案否決後も「関係省庁へ陳情を続ける」との運動方針を明らかにしました。
神戸弁護士会が「住民投票」実施を求める要望書を議員全員に送付 (98年11月13日)
 神戸弁護士会は13日、市会議員全員に対し、住民投票実施を求める要望書を送付したことを明らかにしました。
 要望書は「空港計画を一旦凍結」し、市民の合意を求める意味で住民投票を実施するよう求めています。
 ちなみに、今年3月、近畿弁護士会連合会が市長に対し空港計画を凍結し、民意を問う要望書を送付しています。
これでも住民投票条例案を審議しているの? 臨時市議会スタート(98年11月12日)
 政令指定都市初の住民投票条例案を審議する臨時市議会が12日午前10時から始まりました。
 本会議開会30分前には、議場傍聴席が満席となり、議場には入れない市民200人が市役所1階ロビーのスピーカー前で本会議を「傍聴」するという異例の事態となりました。
 本会議では、冒頭、さわやか神戸市民の会の佐藤議員から会期延長の動議が出され、また、共産党の西下議員は、共産党と住民投票の2会派を代表し、前日の運営委員会の決定に対する反対討論を行いました。
 さわやか神戸市民の会の動議は即否決され、西下議員の反対討論については記名投票が実施されましたが、50人が反対討論に反対したため、否決されました。
 その後、市長は「住民投票は必要ない」の意見付けて条例案を提案、これに対し10会派の代表者が質問を行いました。
 各会派の代表質問と市当局の答弁についてはこちらをご覧ください。
 空港推進派は「条例案は法律に矛盾している」「署名の集め方に問題がある」「署名後のハガキ運動は無礼」といった点を指摘しながらも、空港の経済効果など、条例案審議とは別の質問に終始しました。しかし推進派議員の一部と市当局は「空港の情報公開は不十分」と認めました。
 また空港推進派である自民党新政会の竹田達議員は「空港問題は市民の方々に理解されていない。真剣に考え直すとき」と発言し、空港反対派が多数を占める傍聴席から大きな拍手を受ける場面もありました。
 本会議は2回の休憩をはさみ、18時36分に終了しました。
暴挙!!市民陳述に時間制限!!(98年11月11日)
 臨時市議会を目前とした11日、議会運営委員会が開かれ、議会で市民の意見を聞く「陳述」について時間制限することを決めました。
 すでに臨時市議会に対して市民から陳情49件、請願2件が提出され、そのうち34件に「陳述申請」が添付されています。
 市会事務局は「今後も市民から陳述申請が提出される可能性がある」と運営委員会に報告。与党は「住民投票条例案の審議に集中するため、市民の陳述時間を制限する」ことを提案しました。
 これに対し、野党は「30万もの署名に対して陳述申請が多くなるのは当然のこと」と反発しましたが、「陳述が相次ぐと議会のスケジュールに支障が出る」として、市民からの陳述は合計3時間以内とすることを与党議員の賛成多数で決定しました。
 この決定で陳述時間は1件あたり実質5分以内に制限されます。
 また、この決定は、市長の座右の銘とも言うべき「間接民主主義」が機能していないことを議会自らが証明したようなものです。

早くも攻防戦?! 議会運営委員会開催(98年11月4日)
 4日午後より「議会運営委員会」が開かれ、「住民投票条例案」の審議のための臨時市議会を12日から1週間の日程で開催することを決めました。
 委員会では空港反対派から「1週間では短すぎる、会期を延長してほしい」との提案がありましたが、空港推進派により却下されました。
 また、12月議会を前倒しして行う案も検討されましたが、「市民に十分な審議をしたことを見せつけるため」(空港推進派関係者)に、条例案だけを審議する議会を臨時に開くことになりました。
 政令指定都市で住民投票条例案を審議する市議会が開かれるのは史上初めてのこと。18日の本会議で条例案の採決が行われる予定です。
 これに先立ち、市議会会派「新社会党」(4人)と「無党派市民ネットワーク」(3人)の2会派は、住民投票条例案可決を目指した新会派「住民投票」を結成する協定を交わしました。
 新会派「住民投票」は、条例案を請求した市民団体「神戸空港・住民投票の会」と連携し、条例案可決のために行動するとしています。
 これにより「住民投票」の議席は7となり、議会運営委員会で発言権を獲得することとなりました。
 今日現在、住民投票条例案に賛成する議員は共産党(10)、住民投票(7)、さわやか神戸市民の会(2)の合計19人。本会議の前に条例案が付託される空港特別委員会では全15人中、条例賛成派は共産党2、住民投票2の4人です。

市長、広報紙で住民投票の動きを牽制!!(98年11月1日)
 11月1日、新聞各紙に折り込まれた市の広報紙『広報こうべ』の一面で、笹山幸俊市長が空港計画について説明する記事が発表されました。
 記事は「人・物・情報が集まる街〜神戸の力を持続・発展させるため」と名付けられ、対談形式で、約2ページにわたり掲載されています。
 内容は本紙記事をチェックされている方には、これといって目新しい市長の発言はありませんが、記事全文を、原文のまま転載しましたので、興味のある方は、ここをクリックしてお読みください。
 ただし、今回は市民の税金で発行される広報紙で、10月30日に行われた住民投票直接請求について「この運動が計画の構想段階ならわかるんですが」と前置きし、その構想時期は「昭和五十七年」だったと発言しています。つまり「今頃、住民投票なんてやってられるかいっ!」という笹山市長の本音が行間に色濃くにじみ出ています。
 なお、今回『風見鶏』としてツッコミを入れさせていただきたい市長発言は、以下の通り。
「新鮮な生鮮食料品や花き類などは空港を経由して食卓をにぎわせているのですよ」
 笹山市長は自分が市長を務める市で穫れた農作物、魚介類は食べていないのでしょうか。
 兵庫県最大の農業生産量を誇る市の首長の発言とは思えません。経済発展のためなら地元の農林水産業は衰退してもいいのでしょうか。
 市全体の経済を考えるなら、わざわざ遠い地域の生鮮食料品を空港経由で消費するよりも、地元でとれた野菜や魚などを地元で消費するほうが効果的で、なおかつ市民も新鮮な食べ物を食べられるはずです。
 あえて言い直すとすれば「神戸で採れた生鮮品を他の地方へ輸送するためにも空港は必要」と言うべきでは?

「緊急時に空港があれば、患者や医師、医薬品、機器などを迅速に運べます」
 震災で人工島ポートアイランドの市民病院が完璧に機能しなかったことを考えても、海上空港が緊急時に役立つとは、おかしな論理です。
 わざわざ海上の空港から患者や医師などを搬送しなくても、本土のビルの屋上、広い公園をヘリポートとして活用すれば、時間的には短縮できるはず。
 現に、繁華街のど真ん中・市役所前の東遊園地は震災時、代替ヘリポートとして機能しています。
 また「緊急時」のひとつとしてあげられる津波災害に対し、どれだけ海上空港が耐えられるのか、全く示されていません。
 したがって、空港が必要な理由としては成り立ちません。

「市民の皆さんには負担はかけません」
 すでに市議会の場で、45億円が市民の税金である一般会計から流用されることが市当局から公表されています。
 市当局は「一般会計から一時的に借り入れる」と言っていますが、その返済財源が、未だ明確にされていない「空港着陸料」としており、極めて不透明です。
 それに、空港建設促進協議会には、すでに市税6500万円が投入され「住民投票運動妨害工作」に使われています。これを市民の負担と言わずしてなんと言いましょう?
 また、聞き手も「空港建設には三千百四十億円かかるそうですが」ではなく、「市の当局者が大阪の財界人の会合で空港建設に一兆円かかると言っていますが」と市長に聞くべきです。
『広報こうべ』98年11月号の笹山市長全発言(原文のまま)
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