臨時市議会ドキュメント (委員会審議)

最終更新:98年11月17日
空港等に関する特別委員会 (98年11月13日)
 この日も委員会開会2時間前である午前8時に傍聴の受付が締め切られ、前日の本会議と同様、委員会室に入れなかった傍聴者は25階の傍聴者待合室、1階のロビーにあふれました。
 しかし、委員会は約12時間という異例の長さとなりました。
 そんな中で始まった委員会はいきなり、審議日程をめぐる与野党の激突で幕が開き、市民から219件も出されている意見陳述請求に対し「条例案の審議に集中できない」などの理由から、意見陳述を30人に限定することを与党の賛成多数で決めました。
 このあと、条例請求の代表請求人である須田勇元神戸大学長を参考人として招き、30分にわたり意見を述べました。(意見要旨は下記参照)
 須田参考人は住民投票条例制定は「全国の人びとから神戸が先進的で立派な街といわれるチャンス」とし、住民投票は「市民にとっても、市にとってもいいこと」と力説。また、30万人以上の署名によって提案された条例案を否決するようなことがあると「市民はどこかで爆発する」と議員にくぎをさしました。
 午後からは、委員と市当局の質疑応答が行われましたが、「条例案」の集中審議であるにも関わらず与党側は、そのほとんどを空港の必要性、経済効果、環境への影響についての質問に終始し、前日の本会議と同様、条例案に対する意見はかみ合わないままでした。
 しかも「神戸空港=国際カーゴ空港」を前提とする飛躍した質疑も行われ、傍聴人から罵声を浴びせられる場面もありました。
 ただし、12日の本会議で笹山市長が「構想段階は昭和21年」と発言したことに対する質疑で審議はストップ。委員会最終日である17日、委員会採決の前に笹山市長を参考人として招き、改めて市長の条例案に対する見解を問うことが決まりました。
須田勇参考人の意見陳述(要旨)
 手で物を書くということは特別な脳の働きがあります。つまり、この直接請求署名には大きな意味があります。
 市は住民投票によって得ることはあっても失うものはありません。条例案にもある通り、結果は「尊重」と言う形で処理していいのだから、一度、住民投票をやってください。日本中が見ている中で住民投票を神戸市がやったとなれば市長の評価を高めるでしょう。神戸が「先進的で立派な街」といわれるチャンスがきています。やらなければ市民はどこかで爆発するでしょう。

空港等に関する特別委員会・総務財政委員会 (98年11月16日)
 住民投票条例案が在日外国人にも投票権を与えていることから、空港特別委員会だけでの審議ではなじまないとの理由で、この日は幅広い意見を求めるため「総務財政委員会」と合同の委員会審議となりました。
 当然の事ながら、この日も10時開会にも関わらず、8時30分に傍聴の受付が締め切られています。
 午前中は、与党側の「空港問題は、期限付き凍結を含めて、選択肢が多く二者択一の投票にはなじまない」との意見に対し野党は「市民に空港問題を判断してもらうには○×しかない」と反論。これまでの「空港」審議から「住民投票条例案」に一歩踏み込む論戦となりました。
 しかし「空港」論議の中で、空港建設で船舶の航路変更による港湾工事に200億円が新たな「関連費用」として必要なことがあきらかになりました。
 また、この臨時市議会に提出された市民からの陳情は、この日までに390件を超え、そのうちの370件が「住民投票に賛成」するものでした。この陳情もふまえて16時から、今回の臨時市議会で唯一市民の意見を直接、委員(議員)が聞く「意見陳述」が行われました。
 陳述する市民30人のうち「住民投票反対」の立場で陳述した人は2人、残り28人は「住民投票賛成」の立場で陳述しました。
 住民投票反対派の市民のうち1人は条例ではなく空港の必要性について発言するにとどまり、もう1人は「空港問題は短期的な市民感情の意思で決定される住民投票で決めることではない。もっと長期的な展望で空港計画を考える必要がある」と述べました。
 一方、住民投票賛成派は、住民投票条例不要論の根拠となっている90年の全会一致議決について「震災を経験して市民の意識は変化している。改めて市民の意思を」と訴え、また別の住民投票賛成派は「空港計画は市民の合意を得ているというが、空港計画の是非を問うたと考えている市民は少ないはず」と指摘しました。また、陳述時間が1人5分以内と短いことから、パネルを使った陳述などバラエティに富んだ審議となりました。
 なお、この日の審議は23時40分まで続けられました。
空港等に関する特別委員会 (98年11月17日)
 17日の神戸の朝は雷鳴がとどろく荒れ模様であるにもかかわらず、開会1時間前の9時には傍聴受付が締め切られました。
 午前中、環境局、港湾局、震災復興本部総括局などの関係部局に対する質疑が行われました。この中で、空港アクセスとして計画されているポートライナーの延伸工事について、市当局は一般会計(市民の税金)から158億円を拠出することを明らかにしました。
 市民の税金158億円は駅舎整備の補助金とポートライナーを運営する「神戸新交通株式会社」への出資金に充てられます。
 午後からは笹山市長と山下助役を招いて質疑が行われましたが、市長は「議会の決定は無視できない。住民投票の実施は必要ない」と、これまでの答弁を繰り返すにとどまりました。
 また山下助役も条例14条について「市長の職務を制限することは条例よりも上位にある法律を超え、違法性を帯びる」として、住民投票不要の見識を示しました。
 そして、注目の条例案に対する委員会採決は、賛成4(共産2、住民投票2)、反対10で否決されました。
 この結果、18日の本会議での否決も確実となりました。
参考:「神戸空港」に使われる市民の税金一覧
空港には「市民の税金は使わない」といいながら、市民に以下のような負担を強いることが、これまでに判明しています。
・神戸空港建設促進協議会=6,500万円(すでに投入済み)
・神戸空港本体=45億円(10月6日の空特委で一時的に借り入れるとしていますが、11月12日本会議の市長答弁では返済にあてられる着陸料収入は経費を差し引いた20億円としており、半分以上は焦げ付くかも?)
・神戸新交通株式会社への補助、出資金=158億円(17日空特委)

参考:「神戸空港」事業費3,140億円に含まれない関連施設建設費
市が発表した「総事業費3,140億円」に含まれていないため、今後、市民の税金が食い物にされる可能性がある「空港」関連費用です。
・管制塔=27億円12日本会議
・ターミナルビル=120億円12日本会議
・航路変更に伴う港湾整備費用=200億円(16日空特・総財委)

※委員会審議には公式な会議録は作られていません
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