神戸空港の是非

 「神戸空港」に対して全国的な調査を行ったのは、おそらく、この世に存するすべてのメディアの中で初めてでしょう。
 神戸市民の視線では「復興」「公害」の2点でしか、神戸空港の存在理由をみていないが、あえて、本誌が全国に目を向けたのは、この2点に加えて「利便性」についても知りたいと思ったからです。
 もし、空港が完成した場合、全国の人たちは利用者になることもありうるわけですが、結果は・・・
  北海道
東北
関東 北陸
甲信越
東海 近畿 中国
四国
九州
沖縄
海外 合計
  被災地
復興のためには今すぐ必要 1         3 1 1 2 8
必要だが今は時期尚早 1 7     5 2 4   4 23
不要 1 18 5 3 8 5 5 1 5 51
合計 3 25 5 3 13 10 10 2 11 82
 海外アクセスの方で「必要派」が「不要派」を上回っていますが、神戸空港は「国内線専用空港」であり、直接、海外の人が神戸空港完成により利便性が向上するわけではないのです。
 逆に神戸の人が海外へ行くのに便利になるというわけでもないのです。
 また、全国的に見ると過半数の人は不要としていますが、被災地在住者の集計では意外にも「必要派」と半数ずつに分かれました。しかし、被災地からアクセスしている人が必ずしも激震を体験したわけではないのです。
 それを裏付けるのが、下の「体感震度別」の集計結果です。
●震度別回答
95年1月17日午前5時46分。
あなたはどこにいましたか?
震度7
エリア
震度6
エリア
震度5
エリア
震度4
エリア
震度3
エリア
震度2
エリア
震度1
エリア
無感
エリア
無回答
覚えて
いない
合計
復興のためには今すぐ必要 1   1   1     4 1 8
必要だが、今は時期尚早 1 2 2 5     1 10 2 23
不要 3 2 4 3 5 2 3 26 3 51
合計 5 4 7 8 6 2 4 40 6 82
「体験震度」別に集計すると、体感震度が高い人ほど「不要」と考えている人が多くいます。これは防災面から「海上空港」は役に立たないことを反映しているといっていいでしょう。
 その点については、少しばかりこのコラムで触れています。

●「風見鶏」読者別
「風見鶏」は、これまで「神戸空港反対」の立場で論陣を張ってきましたが、どれだけ、読者に受け入れられているのか・・・
 風見鶏では第2号から「神戸空港」は防災面(活断層の上に空港が建設される、海上空港が防災対策の拠点にはなり得ない)、経済面(関連事業費も含めた6000億円余りのからくりと震災復興との関連)、公害面(運輸省も認める大阪湾上空の過密空路)の3点を多面的に検証した上で、神戸空港は不要と主張してきました。自画自賛するわけではありませんが、これらの主張がリピーターの皆様に受け入れられていることがわかりました。

 なぜなら、当初神戸沖に予定されていた関西国際空港計画を当時の神戸市長が建設反対を表明。神戸空港計画は行政的に挫折したのです。
 そして、現在の関西国際空港が建設された時点で、本来の神戸空港が持っていた「使命」もなくなったわけです。
 現在の神戸空港計画は、はっきりといって実体のない「亡霊」でしかありません。

「風見鶏」にアクセスするのは、今日で何回目ですか はじめて 2〜5回目 6〜10回目 11回以上 無回答 合計
復興のためには今すぐ必要 6 1   1   8
必要だが、今は時期尚早 15 2 1 4 1 23
不要 20 5 12 14   51
合計 41 8 13 19   82
 田舎者国会議員の金蔓とされた整備新幹線ですら、歳出削減の方向に動いているにも関わらず、軽はずみに「大規模プロジェクト=経済活性化」と考えている人があまりにも多いことを裏付けています。
 こういった考え方が「諫早湾干拓」「長良川河口堰」を生み出していったのです。「神戸空港」が第3の災害対策名目の異物にならないためにも、風見鶏は神戸空港の裏側を追究していきます。

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