98年夏の神戸空港ニュ〜ス

最終更新:1998年8月31日
民主党など5党、住民投票条例に反対を表明 (98年8月31日)
 8月31日、労働組合「連合」を支持する、民主党、公明、新党平和、社民党、自由党の5党は「連合・5党協議会」の会合を開き「神戸空港の是非を問う住民投票」直接請求に事実上の反対を表明しました。
 この会合で各党は、
  1. 住民投票は共産党、新社会党の党勢拡大に利用されているため、住民投票署名そのものに反対
  2. 空港建設は1990年に市会が全会一致で議決しており、昨年の市長選挙でも空港推進派の笹山市長が当選し、神戸空港問題は決着している
  3. 市の将来のためには空港は絶対必要…
などを確認しました。
 同会は5日にも街頭で署名運動反対の宣伝活動を行い、さらには自民党にも直接請求署名反対の同調を求めていく予定です。
 また、公明は選挙なみの「署名拒否」宣伝活動を行うほか、支持母体の創価学会員に直接請求署名に応じないよう働きかけています。
 神戸空港推進派が具体的な行動を起こしたことは「住民投票運動が予想以上に盛り上がっている」ことを示し、危機感を抱いていることがわかります。
 しかし、政党名に「民主」を名乗る全政党が、民主主義に逆行して「反対」表明をするとは、市民を愚弄しているとしか思えません。
 ちなみに住民投票直接請求署名は、すでに法定数を上回っています。
神戸空港計画に税金の支出は不当!!、市議らが運輸省を提訴 (98年8月13日)
 8月13日、神戸空港計画をめぐって、初めての訴訟が起こされました。
 市会議員の佐藤絢一郎氏ら12人は、神戸空港計画で市民税が使われたのは違法として、運輸省に対し、市が予算として計上した「神戸空港関係調査費」予算相当額の32000円を返還するよう求める損害賠償請求訴訟を神戸地方裁判所に起こしました。
 訴状によると、1997年2月に出された運輸省の神戸空港設置許可は、航空法の「飛行場の設置によって、他人の利益を著しく害してはならない」規定に違反し、市民に多額の税負担を強いたことは違法としています。
住民投票条例直接請求手続き開始へ!! (98年8月10日)
 「神戸空港・住民投票の会」は8月10日、住民投票制定請求書を市に提出しました。
 市選挙管理委員会では請求人が選挙人名簿に登録されているかなどを審査し、これに基づいて市長が条例請求署名開始の告示を行います。
 住民投票の会では、告示が予定される8月21日より1か月間、署名活動を開始し、市議会リコールを見越した30万人分の署名を集める予定です。
 なお空港建設で「住民投票条例制定手続き」が進められるのは、全国初。
 市は、この請求提出に際して「空港は市民代表で構成される市会の議決を踏まえて手続きを進めている。引き続きいっそうの市民理解が得られるよう努めながら手続きを着実に進める」との声明を発表しました。

神戸空港推進大会開催 (98年8月4日)
 8月4日「神戸空港推進大会〜ひらけ未来へ!神戸空港」が市内のホテルで開催されました。
 この大会は神戸空港推進派の「神戸空港建設促進協議会」(空港促進協)が主催、兵庫県、神戸市の関係者、政財界、労働組合連合などの代表者ら約700人が出席しました。
 冒頭、空港促進協の会長でもある貝原俊民兵庫県知事は「神戸空港住民投票を実現する会」代表である作家の田中康夫氏に対し「住民投票運動は、神戸市民でない方が旗を振っている、神戸市民を愚弄している」と不快感を表明しました。
 さらには財界人に混じり、労働組合連合兵庫の石井亮一代表も「住民投票条例運動を進めている人たちは、将来の神戸の街をどのように発展させるのか、ビジョンがない」と発言しました。
 多くの出席者は「神戸空港は議会制民主主義で決まったこと」として住民投票そのものの不要論を唱えるだけでした。

環境アセスメント案縦覧終了、1565件の意見書!! (98年7月23日)
 7月23日、市が行った「空港島埋立事業に係る環境影響評価準備書」の縦覧期間が終了し、縦覧者は108人、意見書は1565件が提出されました。これは1996年に行った空港設置許可と港湾計画変更に伴う評価書案でよせられた2283件に次ぐ件数です。
 提出された意見書は、8月9日に開かれる公聴会公述ととも、専門家らで構成する市の環境影響評価審議会での審議を経て、市長による「意見書」を作成し、「環境影響評価書」がまとめられます。
在日韓国人の団体が早期着工の要望書を市長に提出 (98年7月22日)
 兵庫県内で韓国人が経営する企業、約1200社でつくる兵庫韓国商工会議所は、このほど、市長に対し神戸空港早期実現を求める要望書を提出しました。
 要望書では在日韓国人の商工業者は震災と不況で厳しい経営状況にあり、神戸空港開港は神戸を活性化し、経済波及効果が期待できるとしています。

「民主党は神戸空港に賛成」〜参院選当選者が語る (98年7月12日)
 7月12日に投開票が行われた参議院議員選挙で、兵庫県選挙区でトップ当選した民主党公認の本岡昭次参議院議員は、開票番組で「民主党は神戸空港に賛成」と発言しました。
 神戸市在住の作家・筒井康隆氏の「神戸空港問題について、どのようにお考えなのか」という質問に答えたもの。
 なお、民主党は現在、市議会に議席はありません。

推進派「早期着工」請願を市会で採択。そして「推進署名」運動を計画中!! (98年7月2日)
 7月2日に開かれた市会「空港等に関する特別委員会」は、三宮阪急駅前商店街振興組合が提出した、空港早期着工を求める請願書を賛成多数で採択しました。
 同時に反対・凍結派の「神戸空港を考える会」が提出していた「全市でのアセスメント開催と財政予測の見直し」請願を否決しました。
 ただし、この請願採択に先立つ議論で、空港推進派の吉田多喜男委員(こうべ市民連合)、竹田達委員(自民党新政会)は「市は市民に見える形で空港推進の態度を示すべき」と発言、推進派市議でも、神戸空港問題に対する市当局の広報活動は不十分と考えていることが明らかになりました。
 また、3日の「神戸新聞」朝刊によると、市議会空港推進各会派は市民グループが進めている「住民投票条例を求める直接請求署名」に対抗して「推進署名」を集める動きがあることを報道しました。
 住民投票条例案が市会に提出されても与党は反対の立場をとることから、否決される可能性が高いが、その大義名分として「条例請求署名」とほぼ同数の「推進署名」を集めるとしています。
 住民投票条例直接請求の動きは、8月下旬にも地方自治法に基づく直接請求署名集めが開始される予定。

三宮阪急駅前商店街振興組合「早期着工」を求める請願書を提出!! (98年6月26日)
 三宮阪急駅前商店街振興組合は、空港の早期着工を求める請願書を市議会に対して提出しました。
 請願書では震災と不況による売り上げ減少などによる神戸経済の活性化のためには空港は必要として、早期着工を求めています。
 さらに、この請願書では住民投票運動の動きを「国の設置許可が下り、議論の時期は過ぎた」として牽制。市に対して「市民に積極的に広報せよ」との要望も添えられています。
 この請願書は、反対・凍結派から提出されている「財政予測の公表」に対する請願とともに、7月2日の空港特別委員会で審査される予定です。
「中央区民以外にも公聴会を!!」の陳情、審査打ち切り (98年6月25日)
 神戸空港凍結反対の立場をとる住民団体「神戸空港を考える会」が市議会へ提出していた「公聴会で意見できる住民を中央区民以外にも拡げよ」との主旨の陳情が、6月24日、打ち切られました。
 当局は「環境について総合的に検討した結果、中央区以外への環境への影響はない」との理由を示しました。
この陳情に対する市議会会派別の立場(会派は議席数順)
審査打ち切りを主張した会派(空港推進派)
公明、新こうべ21、自民党、民社市民連合、こうべ市民連合
陳情採択を主張した会派(空港凍結・反対派)
共産党、新社会党、無党派市民ネットワーク
 なお、この後、市議会自民党は内部の役員問題で3会派に分裂しました。いかに神戸空港推進派が市民の声を聞いていないかが、よくわかる象徴的出来事といっていいでしょう。

「開港予定」を2005年秋に延期!! (98年6月9日)
 当初、神戸空港の「開港予定」は2004年とされていましたが、市は6月9日に発表した環境影響評価書案で「開港予定」を2005年秋に延期していたことが明らかになりました。
 延期の理由として、環境アセスメントの遅れ、空港島の埋め立て許可など手続きの遅れ、経済効率を図るために計画されていた工期の短縮計画を当初予定の方法に戻すなどと言った理由が挙げられています。
 なお、環境影響評価書案では埋め立て工事の着工時期を「99年夏から秋」と明示しています。
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